2011年9月28日 (水)

市川亀治郎,猿之助襲名のときが来た

 『朝日新聞』のウェブ版(2011年9月27日)の「亀治郎さん,猿之助襲名へ 香川照之さんは『中車』継承」には驚いた。すごいニュースだ。

歌舞伎役者の市川亀治郎さん(35)が,来年6月の新橋演舞場「初代市川猿翁 三代目市川段四郎 五十回忌追善興行」で,四代目市川猿之助を襲名する。当代猿之助さん(71)は二代目猿翁の名を継ぐ。同時に猿之助さんの長男で俳優の香川照之さん(45)が九代目市川中車(ちゅうしゃ)を襲名,香川さんの長男・政明さん(7)が初舞台で五代目市川団子(だんこ)を名乗る。

 今年は,浅草公会堂,テアトル銀座,明治座で猿之助歌舞伎を演ずる市川亀治郎を観てきた。そうか,名も猿之助になるのかと思うと,そして,香川照之と共演するのかと思うと,わくわくする。

 最近,最も興奮した出来事である。
 

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2010年1月21日 (木)

宝塚版『カサブランカ』

Casablanca 大空祐飛がリック,野々すみ花がイルザを演じる宝塚宙組公演『カサブランカ』を観た。1941年の北アフリカのカサブランカが舞台の三日間のドラマである。

 『カサブランカ』は,カルト映画なので,舞台劇を元にしている,撮影の最後までラストが決まらず,イングリッド・バーグマンは,二人のどちらと結ばれするのかわからなくて困った,カサブランカにロケはしていない全てハリウッドで撮ったなど映画にまつわる豊富なエピソードが発掘されている。

 日本で『カサブランカ』がどれほど知られているのかはよくわからない。第二次大戦下の当時の状況を説明しないと,このドラマは理解できない。そのために宝塚版『カサブランカ』はかなり苦労している。

 映画『カサブランカ』が名画として残っているのは,完成度が高いためではなく,大義と私事の葛藤,現在への過去の侵入,感傷,強欲,自己犠牲などがちりばめられて,奇跡的にバランスを保っているためであることが,宝塚版を観ていてよくわかった。映画は100分ほどの長さだが,これを1.5倍くらいの長さのミュージカルにすると,膨らませなければならない箇所が増えてしまう。たとえば,パリの追憶場面であるが,フレンチカンカンはよいにしても,よけいな反戦思想まで織り込まれている。また,映画では,ラズロがどのような人物なのかは,フランス国歌の場面だけで説明しているが,宝塚版は,ファシズムと戦うというメッセージがしつっこい。

 『カサブランカ』の欠陥があるとしたら,第一日目の晩に,カフェを訪ねてきたイルザに対しリックが恨みつらみを言う場面である。映画では,ニヒルなハンフリー・ボガートが小人物に見えてしまってがっかりする。誰でもイルザに同情するわけで,この話の主人公は,毅然としたイングリッド・バーグマンなのかとまで思ってしまう。宝塚版ではこの場面を残す必要はなかったと思われる。

 終幕が映画と同じような速さでばたばたと進行していくのは結構なことだ。スピーディなのは,このあたりの主要登場人物の心理を観客に詳しく詮索されたくないからである。よく考えると矛盾がある。けれども観ているほうは,意外な展開についていくのに精一杯で気にしない。宝塚版でも,二人が霧の中に肩を並べて歩いていってほしかった。

 リックは30歳代半ばという設定であるが,ハンフリー・ボガートは老けている。それに対して宝塚版の大空祐飛は若いし颯爽していている。リックはラズロより年下でないとおかしい。