2013年12月30日 (月)

使いたくない言葉(1)

 ある有名ミステリ作家の新作を大層褒めた書評を読んだが,評者は,ただ一点,「真逆」という言葉が使われていることを批判していた。同じく「真逆」はいやだ。

 最近の言葉では,

さくっと,見える化,ウインウインの関係,伏線の回収,号泣

などを使いたくない。

 「五つのうち二つは合意したがあと三つはまだ話したいよねという感じです」(パシフィックリーグ事務局)の「よね」もいやだ。

 流行語大賞は,正式には,「ユーキャン新語流行語大賞」という。1984年にはじまり,『現代用語の基礎知識』読者審査員のアンケートを参考にして選考委員会によってノミネート語が選出されて大賞が選ばれる仕組みらしい。

 10年ほど前,北島康介選手「チョー気持ちいい」が大賞にになった時,あまり流行語と思っていなかったので,驚いた。テレビのバラエティ番組を観ないので昨年の「ワイルドだろぉ」も馴染みがなかった。

 今年は,

PM2.5,NISA(ニーサ),母さん助けて詐欺,弾丸登山,美文字,DJポリス,ななつ星,パズドラ,ビッグデータ,SNEP(スネップ),ヘイトスピーチ,さとり世代,ダークツーリズム,ご当地電力,ご当地キャラ,こじらせ女子,富士山,日傘男子,バカッター,激おこぷんぷん丸,困り顔メイク,涙袋メイク,倍返し,今でしょ,ダイオウイカ,じぇじぇじぇ,あまロス,ビッグダディ,ハダカの美奈子,ふなっしー,フライングゲット,マイナンバー,NSC,アベノミクス,3本の矢,集団的自衛権,特定秘密,汚染水,ブラック企業,限定正社員,追い出し部屋,ナチスの手口に学んだら,ネット選挙,アホノミクス,引いたら負け,二刀流,スポーツの底力,シライ,お・も・て・な・し,コントロールされている

が候補となり

今でしょ!,お・も・て・な・し,じぇじぇじぇ,倍返し

が大賞となった。いずれも知っているし,妥当かなとは思った。

 ただ,フジテレビのニュースに出ていた頃の滝川クリステル嬢のファンだったが,「お・も・て・な・し」はその演出過剰ぶりにあざとさを感じる。

 候補になった50語の中では「激おこぷんぷん丸」が気に入っている。


2012年2月22日 (水)

「させていただく」の長い歴史

  「検討させていただきます」は「検討いたします」であるし,「送付させていただきます」は,「送付いたします」とすればよいのだが,時々,無意識に「させていただきます」を使っているような気がする。

 「させていただく」は敬語でも,丁寧な表現でもなく,わずかにあるためらいを相手に報せようとするいかがわしい表現である。IT企業では特に多いと言われるこの「させていただく」は,ごく最近のことばだと思っていた。

 池田弥三郎『銀座十二章』(朝日新聞社, 1965. 295p.)に以下のように書かれていた。

『荷風日記』の昭和九年七月二十一日の記事に, 「銀座所見」として,

喫茶店テラスコロンバン,店頭板がこいにはりたる紙に「閉店させて頂きます」とあり。

とある。これは「させていただく」という,変なことばつかいの流行の例として荷風氏は書き記したのだが,偶然これによって,テラスコロンバンの店じまいの時が記録されることになった。

 「させていただく」が70年前からあったとは知らなかった。

 さらに,40年以上前に,すでに「変なことばつかい」と言われていたことも知らなかった。