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2017年7月 6日 (木)

ドラマ『やすらぎの郷』:甘えてはいけない。時に情けはない。

 ある年代層のゴシップ好きの人々は,テレビ朝日の昼の連続ドラマ『やすらぎの郷』を欠かさず観ているはずである。毎回,最初に前回のダイジェストがあり,次に中島みゆきのバラード『慕情』を背景に出演者紹介が流れ,15分の帯ドラマが始まる。

 かつて,テレビで活躍した俳優達が余生を送る「やすらぎの郷」で起きる事件を石坂浩二を仲立ちに語っていく。入園者は,いずれも70歳を超えているが,「やすらぎの郷」のスタッフは,草刈民代から松岡茉優までがいる。松岡茉優は,とても得な役だ。八千草薫,浅丘ルリ子,加賀まりこ,野際陽子,有馬稲子,五月みどり,冨士眞奈美とエピソードの中心は女優である。藤竜也が無口で誠実で男らしい,高倉健のような役だが,何だか違っていた。

 そうドラマティックなことがおこるわけではない。老優たちがときめくことがあっても,結局は,中島みゆきが歌う「甘えてはいけない。時に情けはない。」に残酷にも収斂されてしまう。

 いつも出ているのは,石坂浩二,八千草薫,浅丘ルリ子,加賀まりこ,それに,ミッキー・カーチス,山本圭であるが,加賀まりこが気になっていた。加賀まりこは浅丘ルリ子といつも二人で脳天気で,他人に辛辣な言葉を浴びせているが,浅丘ルリ子に比べれば脇役的存在だった。ところが,加賀まりこは石坂浩二に真情を話して泣きだす。これは,意外だった。誰でも歳をとって直面するおそれであるが,これを加賀まりこに演じさせるとは思わなかった。

Yasuragi2  繰り返しになるが,これまで,なんと言っても面白かったのは,4月末から5月にかけての「茄子の呪い揚げ」である。八千草薫が教える「茄子の呪い揚げ」は,深夜,たっぷりの油を熱し,その中にに串を刺して茄子を入れながら腹が立つ相手の名前を叫ぶと,その人に不幸がやってくるというもので,浅丘ルリ子が実行する。効果は覿面だった。

 先頃の選挙結果は,大勢の怒れる人々が「茄子の呪い揚げ」を行ったからであると言われている。


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