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2014年10月22日 (水)

獨道中五十三驛(ひとりたびごじゅうさんつぎ)

Hitoritabiennosuke_3  市川猿之助奮闘連続公演の10月新橋演舞場『獨道中五十三驛』(「ひとりたびごじゅうさんつぎ」と読む)を見た。切符を買ったときには猿之助と市川右近の名しかなかったが(猿之助が全役を演じるのかと思った),市川笑也以下,澤瀉屋のほとんどが出ている。

 大筋はお家騒動がらみの仇討ちで,京都の三条大橋から江戸の日本橋まで,全53場である。猿之助は,主人公丹波与八郎の他,18役を演じる。全部で4時間半,休憩が3回入る。序幕は斬り合いがあるが,たいしたことはなく桑名まで進んでいくが,いつの間にか海の中になってしまう。二幕目,三幕目,大詰には,それぞれ異なる趣向があり,飽きることはない。

 本当の水を大量に使ったり,これでもかと早替わりを重ねるのもよいけれど,最も気に入ったのは,岡崎無量寺の怪しい猫の場である。ぬいぐるみではあまり怖くないが,猿之助の演じる老婆=化け猫は怖いし,陰惨だ。

 あっという間に終わる宿場もあるが,全般に大道具から小道具まで工夫がある。例えば早替わりが一つうまく終われば,猿之助も周囲もほっとするだろうが,すぐに次の趣向があるから,気を抜くところがない。身体の柔軟さばかりであく,尽きぬ体力に感心する。舞台裏を見たいものだ。

 物語に力があるわけではないが,物語の一貫性など気にならず,むしろ口先だけではない徹底したサービス精神に驚き感動する


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