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2013年9月 9日 (月)

『半沢直樹』制作陣は賢い

 テレビドラマの視聴率は,長期低落傾向を示していたが,どういうわけか2013年の7月から9月期のテレビドラマには,初回視聴率がこれまでとは異なって少し高いものが多かった。ところが,『半沢直樹』と高嶋政伸の怪演が人気の『DOCTORS2』以外は,瞬く間に視聴率を落としていった。一方,地味なスタートだった『Woman』は,徐々に視聴率を上げている。この期は,『半沢直樹』の堺雅人,『DOCTORS2』の森山卓医師,それに可哀想で観ていられない『Woman』の満島ひかりが目立ったということになる。

 測定方法をはじめとする問題もあり,テレビ視聴率の意義は失われつつあるが,今回の様子をみると,テレビドラマに関しては,まだまだ,視聴者の好みや評価を反映しているように思われる。『半沢直樹』には「リアルタイム&録画で2回観るのがクセになってきた。これがわたしに出来るせめてもの倍返しです…」というツィートを見た。

Hannzawa  『半沢直樹』は,銀行を舞台にしたサラリーマンドラマで,大きく二部からなっている。第一部は,大阪の支店の融資課長である堺雅人は,奸計に陥るが,それを跳ね返し,上司の理不尽に正面から立ち向かって,長台詞で非をなじる。要するにサラリーマンでなくともカタルシスを覚えることのできるドラマに仕立てられている。『水戸黄門』の濃厚版で,見終えた後の満足感が高い。

 第二部は,あと二回までとなったが,毎回,視聴率は上がり続けていて,最終回は,2011年の『政婦のミタ』を超えるかどうかと言われている。しかし,それよりも,最終回には何らかの意外な展開は残っているのだろうか。香川照之=市川中車演じる大和田常務が土下座するのだろうか。それとも,土下座するのは,やはり歌舞伎俳優の片岡愛之助か。(他人に土下座をさせるのは,器が小さいと見なされても仕方がないと思うのだが)。

 半沢直樹の味方は全て善人,刃向かうものは全て悪人という図式がこれだけの人気を呼んでいるのであるが,現実はそれほど単純ではないことも大人は知っている。合併で飲み込まれた側の銀行出身者が,手段はともかく主導権を得ようと画策することを責めることはできないはずだ。「そんなのは机上...いや,タブレット上の空論だ」にも反論できそうな気がする。

 などといろいろと考えることの多いドラマであることは確かだ。『半沢直樹』制作陣は賢い。終わればみな忘れてしまうのだが。


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