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2013年5月19日 (日)

文楽『一谷嫩軍記』,『曾根崎心中』

Bunraku201305  国立劇場小劇場の文楽公演第一部(『一谷嫩軍記』,『曾根崎心中』)を観に行った。

 文楽協会創立五〇周年記念と近松門左衛門生誕三六〇年記念で,心中ものであるので人気があるのは当然だろう。満員御礼の札が掲げられている。

 やはり,高齢者が多いが,若い女性もいる。後ろの席では,「夕方の入構が..」と言っていたから雑誌の編集者たちのようだ。

 文楽を熱心に観ていた頃から数十年経つが,全く変わったところがないのはよい。ただ,舞台横の左右の上方に太夫が語る台本が二行表示されていく。どうしてもこれを見てしまうので,舞台を見るのがおろそかになる。

 当たり前のことながら歌舞伎は生身の人間が演じ,文楽は,人形と人形方が演じるわけである。歌舞伎では,『一谷嫩軍記』の直実役は,みな大柄であるとはいかない。しかし,文楽の直実は大きく,義経は小柄である。全く内面をみせない直実が大きく力の強い男であることには意味があるように思える。

 『曾根崎心中』の道行は,「「此の世のなごり。夜もなごり」も覚えており,心中までが長いなという記憶もあった。この心中は,どういくわけか死に急ぐ若い娘と極端に気の弱い若い男がこの世で無理ならあの世で結ばれようと心中するのだが,後の心中ものよりも追い詰められた感じが薄い。ちょっとした弾みでこうなったというところである。

 昨晩,風邪を引いて調子が悪いが観に来てしまった。ところが今日は録画録音をする日というアナウンスがあった。咳がでるのを何とか我慢するのは辛かった。それでも咳が出てしまった。DVDだかテレビかしらないが,咳が入って申し訳なく思う。それとも今では,場内の咳を消すくらいの技術はあるのかもしれない。


2013年5月14日 (火)

『アイス・ハント 下』の謎

Icehunt  「北極海を潜行中の米海軍調査潜水艦が,最新鋭ソナーで浮標する氷島の内部に廃棄された基地らしきものを発見した。モニタには多くの人間の死体と,何物かの蠢く影が映り込んでいた」で始まる面白いという評判のジェームズ・ロリンズ『アイス・ハント』(Rollins, James, Ice Hunt. 遠藤宏昭訳.扶桑社,2013. 上下)を買おうと思い,神田神保町の一番大きい新刊書店の2階文庫売場で探した。平積みになっている気配はない。扶桑社ミステリの棚に,『アイス・ハント 下』のみがあった。とりあえず,それを手に取り,文庫担当らしい店員に,『上』はないか尋ねた。どこかにいったその店員は,しばらくして戻ってきて,『上』は,事情があって版元回収になったと教えてくれた。

 『下』だけ買っておくか,やめにするかと迷いながら,五分ほど店内を放浪していると,先ほどの店員が再びやってきて『下』をみせてほしいと言い,しきりとページをめくって調べている。面倒くさくなり,「もう買いませんから」と言って店員に渡したまま店を出た。

 帰宅して調べてみたら,出版社のサイトに次のように書かれていた。

 海外文庫『アイス・ハント(下)』をご購入いただきました皆様への重要なお知らせ

 当社より、3月下旬に発売いたしました海外文庫『アイス・ハント(下)』に、本来あるべき第10章(およそ44ページ分)が 欠落しているという不備があることが判明いたしました。

お買い求めいただいた皆様には、たいへんご迷惑をおかけいたしまして、申し訳ございません。 つきましては、正しく刷り直したものとお取り替えさせていただきます。

お手数をお掛けしまして誠に申し訳ございませんが、皆様のご住所・電話番号を明記のうえ、 弊社宛てに着払いにてお送りいただきますようお願い申し上げます(上巻に関しましては、問題ございません)。

 そうか,事情があったのは『下』だったのだ。買っておけばよかった。アマゾンでは,定価840円の『下』のコレクター商品は,2700円となっている。それよりも,落丁版は手元にほしい。

 ただ,訂正版が既に配本中らしい。それで,あの店員は,わざわざ私を捜して,落丁版か訂正版かを確かめるため,『下』を点検していたのである。さあ,どちらだったのだろう。


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