« 2012年11月 | トップページ | 2013年2月 »

2012年12月31日 (月)

今年読んだミステリ

 『このミステリーがすごい2013』の中で読んだり,要目とした作品は次の通りである。

国内編
1位 横山秀夫『64<ロクヨン>』文藝春秋(2012,647p.)
64  群馬県くらいの規模の県の警察を揺るがす誘拐事件の顛末と本庁と県警の間,県警内部の抗争がテーマ。主人公は,広報官である。最初は,この主人公が一人相撲をしているのがもどかしかったが,状況に馴染み,事件が起きればひたすら読み続けることになった。ただ,この広報官は狂言回しの一人でしかなく,本当の主人公は,何年もひたすらに一つの行為を続ける別の人物である。

6位 原田マハ『楽園のカンヴァス』(新潮社,2012, 294p.)
 倉敷の美術館で展示作品の監視員をしている早川織絵のエピソードから始まる。実際には,ニューヨーク近代美術館の学芸員ティム・ブラウンが主役である。まだ若手の学芸員であるのに,スイス在住の符合からアンリ・ルソーの作品の鑑定を頼まれジュネーブに行く。そこに,若い頃の早川織絵がやはり鑑定のために招かれていた。
 アンリ・ルソーにオマージュを捧げる絵画サスペンスなのであるが,インターポールの調査官などが出てきて興ざめである。構成もよくないし,アイデア倒れの失敗作と判断した。ところが,これが,第25回山本周五郎賞(新潮文芸振興会主催)を受賞した。選考委員は石田衣良,角田光代,佐々木譲,唯川恵,白石一文の各氏である。

8位 法月綸太郎『キングを探せ』(講談社,2011. 283p.)
 4人による交換殺人というあまりに非現実的な設定で,読み進めることができなかった。

海外編
1位 スティーブ・ハミルトン『解錠師』(早川書房,2011.427p.)
 電子書籍で読書中。

3位 スコット・トゥロー『無罪』(文藝春秋,2012. 469p.)
 『推定無罪』は読んだし,映画も観た。すっかり忘れていたが,これは『推定無罪』の続編で,前作の説明があるが,それを読んでいるうちに,怪しい主人公や米国の面倒な裁判手続きなどに次第に読む気が失せてきたので未読。。    

4位 アーナルデュル・インドリダソン『湿地』(東京創元社,2012.343p.)
 このミステリを紹介する場合,必ずアイスランドの作家で,アイスランドが舞台であることが強調される。しかし,それを除けば,洞察力があるが家庭的に問題を抱えた警官が担当する残忍な連続殺人事件というだけではなかろうか。

5位 フレードリッヒ・デュレンマット『失脚・巫女の死』(光文社,2012.328p.)
 4編の短篇が収録されている。デュレンマットはミステリを書いたわけではないが,この中の3作目の「故障」は,たいした趣向のミステリとなっている。

7位 チャイナ・ミエヴィル『都市と都市』(早川書房,2011.526p.)
  重なり合って存在しながら,住民はお互いの都市を存在しないように振る舞っているという状況で事件が起きる。SFであればよいのだが,ミステリでは,この設定が活かされないように思えた。途中で脱落。

8位 カルロス・ルイス・サファン『天使のゲーム』(集英社,2012.433p.)
 前作『風の影』は大変気に入ったのであるが,これには失望した。謎めいた話が,何人もが無意味に殺される粗っぽいアクション小説になり下がった。

9位 アラン・グレン『鷲たちの盟約』(新潮社,2012.437p.)
 ルーズベルトが暗殺され,ナチス・ドイツと結んだ米国という,英国が舞台の『ファージング』のような歴史改変ミステリである。米国もきっかけがあれば,極右専制政権に転向するかもしれないということなのだろうか。全体を覆う暗さ,不安感はよいが,結末が唐突だった。


スポーツ 三つの残念

 年末の特集番組を観ていると2012年は,ロンドンオリンピックの年だったと思う。日本の選手達は期待以上の成績だった。特に,フェンシング,バドミントン,バレーボール,卓球,ボクシングなど活躍する競技の幅が広がったのは心強い。

 今年,スポーツで残念だったことが三つある。

 一つは,F1の小林可夢偉選手が2013年度シーズンのシート喪失である。2012年度にはザウバーに属し,25人中で12位だったが,ザウバーとの契約はならなかった。それには,ドライバーのスポンサーの有無が大きく影響した。メキシコの有力企業がザウバーのスポンサーとなり,メキシコ人ドライバーの採用を求めた。また,小林選手の成績は,必ずしも期待通りでなかったこともある。

 小林選手は,自分で寄附を募った。しかし12月18日に,「なんとか当初の目標に近い800万ユーロ強の予算はありましたが、残念ながら僕が求めていた、戦えるチームでの2013年のレースシート獲得は不可能という状況になりました。'13年度の僕の活動については、F1以外のカテゴリーは考えていません」というコメントを出した。

 チームからホンダもトヨタも離れ,エンジン供給もなく,ブリジストンはタイヤ供給を撤退しているので,日本からのF1参加は小林選手だけだったが,それも来年はない。ただ,鈴鹿での日本グランプリは開催される。

 いま,F1は年間20戦あり,アジア6か国,中近東2か国など世界中で開催されるグローバル化を進めている。それだけ,人気はあるのだろうが,日本では,テレビ中継も縮小され,衰退する一方である。それを象徴するような出来事であるが,今後,どなるのか。ホンダがエンジン供給を再開する計画があるようだが,やはり,チームとして参加してほしい。

 二番目は,自転車のランス・アームストロング選手のツール・ド・フランスでの7年連続総合優勝を含む1998年8月1日以降の全てのタイトルの剥奪である。

 CNNの「アームストロング氏の7連覇タイトルはく奪と追放処分 国際自転車競技団体」(2012年10月23日)は,次のように報じた。

国際自転車競技連合(UCI)は22日,ドーピング違反を指摘されたランス・アームストロング氏(41)が自転車ロードレースのツール・ド・フランスで獲得した7連覇のタイトルをはく奪し,自転車競技から追放する処分を決めたと発表した。
 記者会見したUCIのマクウェイド会長は,「自転車界でランス・アームストロング氏の居場所はなくなった」と通告した。
 これに先立ち米国の反ドーピング機関は,アームストロング氏がプロの自転車選手としてドーピングにかかわっていたことを示す膨大な証拠があると認定。これに対し,アームストロング氏は一貫して無実を訴えていた。
 フランス自転車競技連盟はUCIの決定を受け,アームストロング氏がツアー優勝で獲得した賞金295万ユーロ(約3億円)の返還を求めると表明した。さらに,同氏のツール・ド・フランス優勝に対し多額の報奨金を支払っていた保険会社の米SCAプロモーションズは,アームストロング氏に対して報奨金の返還を求める法的措置を検討していることを明らかにした。請求金額は計1200万ドル(約9億6000万円)に達する可能性がある。
 アームストロング氏のドーピング違反をめぐっては,これまでにスポーツ用品大手のナイキなど,大手企業が相次いでスポンサー契約解除を発表。22日にはサングラスなどの用品を提供していたオークリーが新たに契約打ち切りを発表した。ただし,がん患者の闘病を支援するランス・アームストロング財団の支援は続ける方針だとしている。

 テキサスで生まれ育ったランス・アームストロング選手は,1992年にプロの自転車選手となり,順調に成績を上げていき,ツール・ド・フランスでのステージ優勝もした。ところが1966年に精巣腫瘍が発見され,闘病生活を送った後に,復帰した。そして1999年から2005年までツール・ド・フランスで連続総合優勝という偉業をなし届けた。

Lancearmstrong  ツール・ド・フランスで,アームストロング選手には,山岳の上りやタイムトライアルでの力強さに圧倒され,落車したライバルのへのいたわりをみたり,『ただマイヨ・ジョーヌのためでなく』(安次嶺佳子訳. 講談社, 2000)を読んだり,映画でもお見かけしたりしてきたので,残念だけではすまないところがある。しかし,持久力を高める禁止薬物を用いながら巧妙な隠蔽工作により200回を超える検査で,公式には一度も陽性となっていないという悪質さによりこれだけ厳しい処置となった。

 三つ目は,慶應のラグビー部である。指導者が替わった結果,よく訓練されていないチームになってしまった。これまで30年間,たとえ弱くてもラグビー場に行って応援してきたが,今年は,そのような気に全くなれなかった。多くの慶應ファンと同じ気持ちである。


2012年12月 9日 (日)

ドラマ『高校入試』は見逃せない

Kokonyusi  フジテレビの土曜夜のドラマ『高校入試』は面白い。

 かなり真剣に観ているので,あっという間に終了時間がきてしまう。このドラマは,一回ごとにまとまった結末を迎えるのではなく,こんなところでと思う箇所で終わってしまう。また,これまでのところ群像ドラマであり,主な出演者が各回で順繰りに中心となるということもない。

 湊かなえ原作の高校を舞台にしたミステリで,ある県の県立高校の入学試験の一日が舞台である。最初の数回,細部にわたって入学試験の手順が説明されたが,それだけでも興味深かった。

 「入試をつぶす」とい予告があり,試験中に小さな事件がいくつか起きるが,最後の科目の時に,一人の受験生の携帯電話が鳴る。さらに答案用紙の枚数が合わない。そして,インターネットの掲示板に入試の状況が刻々と投稿されていくという異常な事態になっていく。

 登場する人物,特に教師の誰もが少しずつ怪しいが,教師としての個性も書き分けられているので,性格に隠れてしまい怪しさが薄まってしまう。長澤まさみが教師役で出ているから当然主人公のはずであるが,どのような役割を与えられているのかもわからない。

 12月29日が最終回らしい。結末がお粗末であろうとも,ああでもないこうでもないと考えさせてくれたから,満足である。


2012年12月 7日 (金)

映画館で地震に遭遇

 2012年12月7分午後518分,三陸沖の地震があった時,有楽町のマリオンの11階のTOHOシネマズ日劇で映画を観ていた。『スカイフォール』である。ダニエル・クレイグが復活し,上海に行ったところ,上海の俯瞰映像の時に揺れが始まり,敵を見付けた時にかなりゆれた。4割くらいの入りの観客は動揺し,あちこちで携帯画面を見ていた。ただ,立ち上がる観客は少なかった。

 出ようと思い,通路に行きかけたところ,映写が中断し,係員によりしばらく上映を止めるという説明があった。それでも,出て行く人は少なかった。ロビーでは,館員が走り回っていた。青森が震源地らしい,東京は震度4などという声が聞こえる。

 どうしようかと思った,待っていれば,映画は再開するだろうが,津波警報が出たと聞き,昨年の3.11のことを考えると帰ることができるならさっさと帰ったほうがよいと判断した。長く待ったり,寒い夜の町を歩いたりするのはいやだ。

Sanrikuoki  映画館の外に出て,エレベータの前に行った。エレベータは停まっておらず直ぐにきた。1階に到着し,地下鉄丸ノ内線に乗ろうとした。宝くじの長い行列の最後の看板に45分待ちと書かれて,人が並んでいるのをみて拍子抜けした。11階の揺れはかなりのものだったが,地上ではたいしたことはなかったのか。

 地下鉄は直ぐに来て,無事発車し,特に問題なく帰り着いた。集合住宅のエレベータは停まっていた。自宅の床に本を重ねた箇所は,少しであるが崩壊していた。津波の被害はなかったらしい。

『スカイフォール』はどうしよう。映画をみながら,ダニエル・クレイグとジュディ・リンチの悪口を考えていた。冒頭のイスタンブールの長いアクション場面も既視感があった。でも,後半はよくなるのだろうか。もう一度前半を観るのは少し辛い。


« 2012年11月 | トップページ | 2013年2月 »