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2012年11月21日 (水)

『高慢と偏見,そして殺人』の主人公

Deathcomesto  P.D.ジェイムズは,、1920年生まれで,この『高慢と偏見,そして殺人』(Death comes to Pembary, 羽田詩津子, 早川書房,2012. 348p.の原作は,2011年出版であるから,91歳の作品となる。本屋でこの本を見付けた時に,直ぐに買った。同じ人はきっと多いことだろう。わくわくするではないか

 題名の通り,『高慢と偏見,そして殺人』は,ジェーン・オースティンの『高慢と偏見』を下敷きにしたミステリというか,その後日談である。ダーシーとエリザベスが結婚して6年後,ペンバリー館で二人の男の子とともに暮らしている。息子が二人いるのでエリザベスは悠々としていられる。

 1803年10月,近隣の人々を招いて恒例の舞踏会が開かれる前日の夜,地所の中で殺人事件が起きてしまう。それには,エリザベスとは不仲の妹リディアとその夫でダーシーが嫌うウィッカムがかかわっていた。

 エリザベスが探偵役をつとめるという展開を期待してもそれは無理であり,ダーシーも同様である。エリザベスは,大きな屋敷の女主人としてふるまい,辛辣な人物批評をすることはなく,ダーシーも自分の地所で起きた事件なので身動きできない。謎解きは淡々と進んでいく。ただ,事件に関係する重要人物は,途中で消えてしまった。

 広大な地所の管理とそこで働く人々に対する責任を持つダーシーの一つ一つの判断をP.D.ジェイムズは書きたかったのだろう。一方のエリザベスは,あまり活き活きとしていないのが残念だ。

 冒頭からしばらくは,『高慢と偏見』の世界を説明しつつ,本題に入っていくが,原作の登場人物のほぼ全員が登場,あるいは言及され,その人物像は,原作と変わりがない。注意深く,緻密に作りあげる.D.ジェイムズの衰えぬ知力に驚かされる。


2012年11月11日 (日)

ラグビー日本代表が欧州で初勝利

Jrfu  ラグビーの日本代表は,今月,欧州遠征をしている。世界ランク16位の日本代表は,18位のルーマニアとブカレストで対戦した。日本代表は1973年からこれまで欧州で25戦し,全敗だった。ルーマニアにも日本では勝ったものの8年前には,アウェーで10-25で負けている。

 結果は,34-23の欧州での初勝利となった。ルーマニアは身体の大きな選手達が愚直に攻撃と防御をするチームだった。日本のように身体は大きくなく,精密な連係プレイのチームは,苦労する。もちろん,日本が苦労するのは,手足が長く,ボールをつなぐのがうまいサモアやフィジーも同様ではあるが。

スクラムでは押され,攻撃では,壁のようなルーマニアに跳ね返されて前進できない。しかし,ペナルティゴールとトライで,前半17-9でリードした。後半には,1点差に追い付かれたことが二度,流れがルーマニアにいきかかったところを運よく逃れた場面があった。ただ,終盤にルーマニアの運動量が急速に落ちていき,日本選手の俊敏さが際だつようになった。

昨年末からエディ・ジョーンズヘッドコーチに代わり,アジアの弱い国には買ったものの,ランクで上位のサモアやトンガなどに競り負けた日本代表は,ここで踏ん張ったわけである。来週対戦する15位のグルジアにアウェーで勝てるだろうか。


2012年11月 5日 (月)

正倉院展で見た書見台

 正倉院展は,二年ぶりである。時間が遅いため,それほど混んではおらず,高齢者より若い人たちが多かった。

Rurinotsuki  今年の注目作品は,「螺鈿紫檀琵琶」かと思っていたが,大事にされていたのは,18年ぶりに出陳された「瑠璃坏」だった。ペルシャで作られたと言われる青いガラス製のさかづきである。 

 この「瑠璃坏」のある展示場所のかなり前で観客は,近くで見たいか,離れて見ることでよいかをきかれる。近くで見たいというとロープの通路で並び,数十分待つことになる。これを諦めてひと気のない通路を行くと,近接組の人達がひと回りしてはき出される後ろでゆっくり見ることができた。

 しかし,最も興味を引いたのは「紫檀金銀絵書几」である。高さは約60センチの書見台である。巻物を左の環にセットし,右側で巻き取っていく仕組みである。上部はケヤキで,下部が紫檀で,金銀泥で絵が描かれている。

Shoki  正座して姿勢をよくして読むときには,書見台は必要だったかもしれない。しかし,読書は,巻物であっても冊子体でも手で持って読むのが長時間耐えられる唯一の方法のように思われる。この「書几」のような複雑でしかも華奢な書見台は,使いにくかっただろう。

 けれども,そうした非実用的な家具にこれだけの努力を注ぐところにかえって余裕を感じる。


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