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2012年7月29日 (日)

原鉄道模型博物館は理解されるのか

 原鉄道模型博物館のある横浜三井ビルディングに近いのは,みなとみらい線新高島駅であるが,この駅を出ると,周囲に何もないのに当惑する。開発用地の中に駅を作ったものの,ビルが立て込むことがないため,商店街の形成はなく,コンビニエンスストアがあるばかりである。それでも数棟,高いビルがあり,その一つが横浜三井ビルディングである。

Hararail  1階のコンコースの真ん中に3階に行くエスカレータがあり,その乗り口に係員がいて「少し混んでます」と教えてくれる。ここは2012年7月10日に開館した。原信太郎氏93歳の1000両に達する車両を展示している。

 基本的には子供連れで来るところであり,男女連れも一人もほとんどいない。最初の数部屋には,原氏が作った鉄道模型が並べられている。ここには,日本の古い市電や私鉄の電車がある。原氏は日本の国鉄にはほとんど関心がないようだ。博物館然としたこれらの展示物は,子供を連れた親には辛いだろう。親は,これらの車両についてほとんど知識がないはずからである。

 そして,広大なスペースのレイアウト室がある。王道を行くというか,エンドレスという周回の線路が数本引いてあるだけである。手前に大きな駅とホームがあり,左と右に山があってこの間を結ぶロープウェイがあり,右の山の周囲にも線路が敷かれている。

 列車は,立体交差もなくただぐるっと回ってくるだけであるので単調である。時々暗くなって夜となり,建物や列車の明かりが映える。このレイアウトは1番ゲージだというが,普通の鉄道博物館のレイアウトとは違い,車両が大きい。これを,台車から客席まで入念に作り,パンタグラフから集電するという凝りようである。シーナリーと呼ばれる景色や建物の完成度も高い。走っているのは,ドイツやスイスを中心とした車両である。電車も蒸気機関車もある。手前にあるのは三階建てのヨーロッパの大きな鉄道駅である。

 どういうことかといえば,新幹線も旧国鉄の列車も,私鉄の特急もないということである。従ってお父さんやお母さんがノスタルジーに浸るのは難しいし,N700を好きな子供にも無理だろう。

 見ていると,「あっ,転車台だ」と喜ぶ子供と結構詳しいその母親がいたり,全く興味を示さない男の子,作者の高尚な趣味に反感を持ってしまったお父さんなど観客は様々だ。

 おそらく妥協したのだろう,一角にみなとみらい地区を表したHOゲージのレイアウトもあった。しかし,安っぽく見えてしまうのは否めない。

 原氏は,酒も煙草もたしなまず,1945年から一日2リットルのコカコーラを飲んできたそうだ。鉄道模型は,昔は外国製と国産の間に大きな差があった。その時に参入していれば,外国製車両が中心となる。その後,国産も質がよくなった。また,鉄道模型の縮尺率は大きくなるというか,ゲージでは小さくなるのがトレンドだった。原氏は,こうした流れを気にすることなく,自分の流儀を貫いてきたということだ。


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