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2012年2月28日 (火)

2012年アカデミー賞授賞式

 アカデミー賞の授賞式をWOWWOWの午後9時からの総集編で観た。これでも2時間を超える。

 毎年,細かく趣向が変わっている。司会のビリー・クリスタルのジョークがよくわからない。会場は,「コダックシアター」であるが,コダックの倒産をあげつらうなど,かなり辛辣である。「女性の強い年でした。『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』や『J・エドガー』」というのは,わかった。『J・エドガー』の主人公は,エドガー・フーバーCIA長官であるが,この映画では,フーバーに女装趣味があったことを暴いている。ここまではいいが,ビリー・クリスタルは,本来,作品賞,主演男優賞,監督賞はじめ,様々な賞の候補になってもおかしくないこの作品がいかなる理由なのかわからないがアカデミーから無視されていることを皮肉っているのかもしれない。そう深い意味はないのかもしれない。

 今年のプレゼンターで良かったのは,もちろん,よどみなく候補作を紹介したナタリー・ポートマンであるが,エマ・ストーンも初々しくてなかなかだった。初めての大役で舞い上がって騒ぐ若い女優を好演したという解釈でよいのだろう。

 最初のうちは,『ヒューゴの不思議な発明』が美術賞,撮影賞などを次々に取り,勢いを感じさせたが,結局,『アーティスト』が作品賞,監督賞,主演男優賞を独り占めして圧勝という,逆転劇のような展開だった。

 ウディ・アレンは,脚本賞を受賞したが,代理人も来ないという拒絶ぶりだった。

Roonymara  白いドレスが基調となった中でルーニー・マーラの『ドラゴン・タトゥーの女』リスベットとかけ離れた姿も話題だったらしい。。

  『ヒューゴの不思議な発明』は日本でも公開されているが,題名から想像される中味ではないとあまり評判は芳しくない。受賞した主要な作品『アーティスト』,『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』,『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』が全て日本では未公開という状況は困ったことであるし,第一,プロモーションの点で配給会社自身が困らないのだろうか。


2012年2月22日 (水)

「させていただく」の長い歴史

  「検討させていただきます」は「検討いたします」であるし,「送付させていただきます」は,「送付いたします」とすればよいのだが,時々,無意識に「させていただきます」を使っているような気がする。

 「させていただく」は敬語でも,丁寧な表現でもなく,わずかにあるためらいを相手に報せようとするいかがわしい表現である。IT企業では特に多いと言われるこの「させていただく」は,ごく最近のことばだと思っていた。

 池田弥三郎『銀座十二章』(朝日新聞社, 1965. 295p.)に以下のように書かれていた。

『荷風日記』の昭和九年七月二十一日の記事に, 「銀座所見」として,

喫茶店テラスコロンバン,店頭板がこいにはりたる紙に「閉店させて頂きます」とあり。

とある。これは「させていただく」という,変なことばつかいの流行の例として荷風氏は書き記したのだが,偶然これによって,テラスコロンバンの店じまいの時が記録されることになった。

 「させていただく」が70年前からあったとは知らなかった。

 さらに,40年以上前に,すでに「変なことばつかい」と言われていたことも知らなかった。


2012年2月 5日 (日)

電車の中のマドンナ

『日本経済新聞』の「私の履歴書」は佐久閒良子さんである。練馬から目白の川村学園に通っていた高校の頃,「西武線のマドンナ」と呼ばれていたと書かれている。

 「マドンナ」とは聖母マリアのことであるが,今は,歌手のことであり,死語に近い。『坊つちやん』に出てくる「マドンナ」は戦後しばらく使われていた。寅さんシリーズの女性相手役も「マドンナ」役だった。今,西武線に若き佐久閒良子さんがいたら,何と呼ばれているのだろう。

 大江戸線の中で,髪を金色に染め細いジーンズをはき,マドンナ途上の容姿の20歳前後の女性が座って文庫本を熱心に読んでいる。少しくたびれた司馬遼太郎『燃えよ剣』(新潮文庫)である。

 本当に本にのめり込んでいる感じであったが,突然,涙を流し始めた。『燃えよ剣』を読んだことがないので,よくわからないが,そんなに感動する場面があるのだろうか。中程であったが。この女性がどのようにして『燃えよ剣』に至ったかは,興味深い。


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