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2011年1月19日 (水)

『誰がために鐘は鳴る』は「平和を伝えている」そうです

 日本経済新聞の文化面には時々,見当違いが見受けられるますが,2011年1月19日夕刊文化面の「自由席」(アナウンサーT氏の署名あり)に驚きました。

 これは宝塚宙組の東京公演『誰がために鐘は鳴る』の劇評のようです。

 「平和の大切さ伝える宝塚」という見出しがついています。文章は,「華やかな夢を与えてくれる宝塚で珍しいセリフを聴いた。『戦争なんてくだらねえ』。スペイン内戦でファシストと戦うアグスティン(蘭寿とむ)の叫びに,思わず心が痛くなった」で始まっています。

 そして,「出演者が気をそろえ,平和を伝える姿,そこには宝塚の心があった」で終わっています。

Tagatame この『誰がために鐘は鳴る』を昨年11月に大劇場で観ましたが,それから2か月近く経つ間に演出が反戦仕様に変わってしまったのかと思いました。そんなことはありえません。この方は,ヘミングウェイも原作も読んだことはなく,スペイン内戦もジョン・ダンの詩も知らないのでしょう。

 『戦争なんてくだらねえ』と言って,フランコと戦うのをやめたいと思っている登場人物など一人も出てきません。一つの台詞を文脈と関係なく取り出し,都合良く解釈しています。この方はまた。「反ファシストのロバート」と書いています。「反ファシズムの闘士のロバート」でしょう。ファシズムという言葉をご存じないのかもしれません。

 男装のスターをいかに格好良く見せるかに腐心する宝塚では,戦うヒーローこそ求められ,あまり「平和を伝え」たりはしません。少しも見巧者とはいえない人物に執筆を依頼し,芝居の中味と関係のない見出しを平気で付ける整理担当者のいる日本経済新聞社にはがっかりさせられます。

 宙組に天下って苦労してきた大空祐飛嬢と野々すみ花嬢がようやく大輪の花を咲かせた傑作がこの『誰がために鐘は鳴る』なのです。


2011年1月16日 (日)

あたらぬ気象庁の長期予報

Kisho2011 2011年1月16日(日)17:00発表の気象庁の天気概況では,「夜も日本海側は雪が降り,北日本はふぶくでしょう。大雪や暴風雪,高波に警戒が必要です。雷の鳴る所もありそうです。太平洋側は晴れ間も出ますが,所々で雪が降るでしょう。あすも山陰から北の日本海側は雪が降りそうです。ふぶいたり,積雪量が増える恐れがあります。太平洋側と九州は初め雪の降る所がありますが,日中は大体晴れそうです。沖縄は曇り空が続くでしょう」となっている。

 正月以来,ずっと寒い日が続き,雪が降り止まない。

 2010年12月22日発表の「3ヶ月予報(全般)」の「1月~3月」では,「この期間の平均気温は,北日本で高い確率が50%,東日本で平年並または高い確率ともに40%です。降水量は,北日本日本海側で平年並または少ない確率ともに40%です。降雪量は,北日本日本海側で少ない確率が50%です」と暖冬を予想していた。

 1月については,「天気は,北日本日本海側では平年に比べ雪の日が少ない見込みです」と雪が少ないという予報だった。

 気象庁の長期予報は当たらないが,この冬も同様である。もしかしたら,これから暖冬になるのかもしれないが,望み薄である。あるいは,「平年」気温は,今年よりも低いのかもしれない。

 気象庁の長期予報を頼りにしている商売も多々あるわけであるから,こう当たらないのは問題ではないのか。

 気象庁の「平成23年度 気象庁関係予算決定概要」を見ると「次世代予報スーパーコンピュータシステムの整備(318百万円)」が計上されている。「高度化した数値予報モデルの運用を通じてより高精度の予測を可能とするために,計算能力を飛躍的に向上させたスーパーコンピュータシステムを整備」しているようだが,これで本当に大丈夫なのか。


2011年1月14日 (金)

グーグルブックスの和書利用の現在

 グーグルブックスのサイトには,「現在、Google ブック検索では 700 万冊以上の書籍の全文を検索できます」と書かれている。

 この中には日本語の本もあるが,グーグルのサービスやプログラムは,刻々と変わるが,2011年1月の状況は次の通りである。

 どのようなテキストでもよいが,グーグルブックスで『太平記』全文を読むことができるだろうか。検索フィールドに「太平記」と入れ,左の欄で「全文表示」と限定すると17点が検索される。

 この中に,初版が1899(明治32)年に出た博文館の『太平記』がある。この本は,グーグルブックス提携図書館の一つである慶應義塾図書館の蔵書である。表紙には蔵書印がある。また,2009年12月9日にデジタル化されたことがわかる。

 これは全文が表示される。上部に,ページや表示をコントロールするアイコンがある。ページ表示は,横書きの本というか,左から開く本が前提となっているので,末尾が1ページになる。

Googlebooks 大部分のページは,問題なく読めるが,文字の濃さにむらがあったり,図のように斜めにスキャンされたページもある。さらに,画像からテキストが抽出されている。テキスト化の手段は不明であるがおそらくOCRであろう。検索したり,スニペットを見たりして確認したが,テキストには誤りが多い。

 ここで,デジタル化作業では,最初にデジタル化する場合には,最良のデジタル版を作るべきではないかと言いたくなる。これが唯一のデジタル版として残っていく可能性があるからである。しかし,こうしたことを一私企業に期待しても無理であろう。グーグルは自社の費用を使い,自社の論理でデジタル化しているのである。

 グーグルブックスの表示では,ページ送りなどで扱いにくい点がある。幸い,全画面をPDFファイルにできる。1000ページを超える本も問題なくPDFファイルになった。

 さて,読もうとして,1ページから見て行ったら,本の末尾から逆に表示された。グーグルブックスの表示と同じく,PDFファイルも,左から開く横書きの本しか想定されていないのであった。


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