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2008年4月29日 (火)

ジョン・スラデック『教科書用書籍の渡りに関する報告書』

Jyokikudo 『教科書用書籍の渡りに関する報告書』は,ジョン・スラデックの短篇集『蒸気駆動の少年』(河出書房新社,2008.450p.)の中の一篇である。収められている23篇の多くは,SFやミステリ作品のパロディで,原作をさらに混乱させたものである。

 『教科書用書籍の渡りに関する報告書』は,タイトル通りの内容である。これにもモデルがあるのかも知れないが,オリジナルであればなお良い。ワンアイデアであるが,解説(柳下毅一郎)にあるように「ナンセンスな掌篇だが,後にはなぜか爽やかな感動が残る」。

 ただ,この光景を見てみたい,そして手元の本を離してみたいと思うのは,本好きだけだろう。


2008年4月 6日 (日)

『ちりとてちん』が終わって一週間

2  NHKの朝の連続ドラマ『ちりとてちん』が終わって一週間,幾分かの喪失感を感じる。

 新しく始まった『瞳』を見ていると古めかしい展開になりそうだ。若い女性主人公が突然,予想していなかった環境に置かれ頑張る話だ。『どんど晴れ』もそうだった。主人公はともかくとして,その他の登場人物とその性格も手垢が付いているように見える。

 あらためて,『ちりとてちん』は斬新だったと思うし,自由にやっていた。起きる事件の多くは意表をつくものだった。週1回ではなく,毎日,感動させてやろうという意気込みがあった。一人一人の個性は際だっていた。出演者はこのドラマに出ることができて幸せだっただろう。

 関東地方のでの視聴率は,低かったようだ。過去のエピソードへの言及が多いので,ある程度,早い時期から観ていないと,理解できないであろうし,全体をおおう感覚に馴染めない視聴者がいたことだろう。今や,視聴率は悪くても熱狂的なファンが大勢いるほうがよいドラマである。

 落語や塗り箸などの伝統を継ぐのは,大きな流れの中に入ることである,削って出てくるのは塗られたものだけである,「その道中の陽気なこと」に表わされる笑い飛ばして生きようという姿勢,といったことを繰り返して述べていたのが『ちりとてちん』である。ただ,最後の主人公の決断は唐突すぎて,説得力がなかったと思われる。

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2008年4月 5日 (土)

醍醐寺霊宝館の枝垂れ桜に圧倒される

 京都の醍醐寺の桜といえば,これまでは三宝院の桜だった。醍醐寺に入って直ぐ左の三宝院の建物の前にあり,半分ほどは外からでも見ることができる。醍醐寺はその他にも枝垂れやソメイヨシノの巨木がある。

 昨年,初めて,霊宝館の枝垂れ桜を見て,圧倒された。この霊宝館は新築であるが,この枝垂れ桜を取り囲むように建てられている。

Daigo2008  樹齢180年というこの桜がいかにすごいかは,実物を見るしかない。横に大きく拡がって枝を垂らし,その枝の隅々まで花が咲いている。手入れが行き届いているのがよくわかる。

 今年は,たまたま,午前中の光の中で見ることができたが,本当に息を呑んだ。見物客であふれているが,誰しも同じように,「きれい」などと声に出すべきではないという気持になってしまっている。神々しく,また,ありふれた言葉を使うのは,桜に対して失礼だろう。

 これまでも,桜に圧倒された思いは何度もある。昨年,述べたように円山公園の紅枝垂れ桜も長い間そうした存在だった。しかもこの桜は,自分が生まれた頃に植えられたので,なおさら愛着があった。

Maruyama2008  昨年は,少し持ち直したかと思ったが,今年はさらに老化が進んでいた。少なくなった枝,花の咲かない枝,もはや勢いは感じられない。あまり大勢の人たちが見に来るので,疲れ果ててしまったという説にも説得力があるが,本当にどうしたことなのだろう。

 毎年,このような痛々しい姿をさらすしかないのだろうか。

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