« 2006年10月 | トップページ | 2006年12月 »

2006年11月24日 (金)

中途半端な京都ガイドブック 酒井順子『都と京』(新潮社)

Miyako_1  東京に住む京都好きが,東京と京都,東京人と京都人の比較をしてみようというわけである。しかし,東京や東京人のことは少なく,もっぱら京都の話になるのは仕方ないことだろう。東京は人口が多すぎていろいろあり捉えきれない一方,京都は,日本の中でも個性の強い町であり,京都人は変わっているというか,「ノーと言えない」けれども油断のならない人々である。

 雑誌に掲載されていたので「言葉」,「料理」,「節約」,「贈答」から「宿」,「交通」,「サービス」,「土産」など二十ほどの項目がある。さらには,平安京跡に出かけてみたり,二時間京都ドラマ論といったコラムがある。

 京都出町柳の桝形商店街は,お正月用の食料品を錦市場より安く手に入れられる,京阪丸太町の,ほとんど駅構内のような場所にクラブがあったり,などと京都についての新手のガイドブックのような記載がある。

 けれどもそうした情報提供は,あまり多くはなく,全体としては京都解明に取り組んでいる。残念なことに,目からうろこが落ちるというわけではない。

 一つには,これまで言われていることばかりが出てくる。そうなってしまうのは,著者の京都経験が浅いため,入江敦彦氏らの京都本に負っていることが多いからである。それも冊数が少ない。これなら黒田正子氏の『京都の不思議』他を読んだほうが得られるものは大きい。

 第二に,そうかなと思うことが多い。例えば,京都の「振り売り」にあたるものが東京では少ないと書かれているが,東京の都心にまで千葉県や茨城県から小型トラックで野菜などを売りに来ていることをご存知ないらしい。また,京都のスーパーの位置づけは特別だと言うが,京都にもどこにだって普通にスーパーがあって,混雑している。錦市場の近くにも,高島屋内,高島屋裏や新京極などにスーパーがある。何とか比較をしようとするあまり,あちこちで無理が生まれている。

 読者を納得させられないのは,この筆者に特に主張したいことがないためであり,また,文体にも原因がある。

 「だからこそ『関西の人は,ケチ』というザックリしたイメージを持っている」,「東京と千葉と埼玉がいがみ合う,みたいなこともない」といった文章(ザックリ,みたいな)の問題に編集者は気づかなかったのだろうか。

| コメント (1)

西国三十三所を巡る

Nokyocho  西国三十三所巡りを行っている。三十三所は,千年以上前に定められ,関西の観音様のおわす三十三か所の大きな寺を訪れる。それぞれの寺の観音堂の脇に納経所がある。「納経帖」というあらかじめ三十三所の寺名などが記載された帳面を購入しておき,納経所で,その寺の担当係に朱印を受け,寺名,日時などを筆記して頂く。そして,第三十三番札所以外は300円を払う。現在は,「散華」という蓮の形をし文字の書かれた小さな札と,「西国巡礼 慈悲の道」というちらしも貰える。

 要するに関西を舞台にした大がかりなスタンプラリーである。これは,資格も制限もなく誰でも参加できる。代行さえも可能である。納経帖があれば本人はいなくてもよい場合もあるようだ。何年かけようが,途中でやめようが誰もとがめたりはしない。何百年も続いているのだから,再開するときになくなっていることはなかろう。

 普通,西国三十三所を始めるのは,たまたま行った寺に納経所があり,印をもらってみて関心を持つという場合が多い。もちろん集団で廻る場合もある。今熊野神社に朝早く行ったら,二十人ほどの団体がいて,お堂の中で般若心経を朗誦するのに出会った。マイクロバスで霊所を巡っている千葉県から来た方々だった。

 実は,西国三十三所巡りは,かなり前に数年がかりで一度終えていて,今回は二回目である。酔狂なことである。
 二回目であるので,ハードルを高め,今度は,一番札所から順番に廻ることにした。

 和歌山県の第一番の青岸渡寺から岐阜県の華厳寺まで大阪府,奈良県,京都府,兵庫県,滋賀県の2府4県に及ぶ。

 歩いて廻るのが原型であるが,ひと月ほどかかりそうである。これを,車で巡るなら,おそらく一週間ほどで終わるだろう。10泊11日,25万円のツアーもある。できるだけ公共交通機関を使うことにし,一部,タクシーやレンタカー使用を容認するのが一般的である。

 

| コメント (1)

2006年11月 2日 (木)

舞妓さんのオーラ

Maiko  京都には,他の観光地にはない舞妓変身サービス業があり,結構人気がある。基本は,舞妓の化粧をし,着物を着せてもらい,写真を撮るのであるが,オプションで「散策」というのもある。簡単にいえば,コスチューム・プレイの一つであるが,単純にコスプレとはいえない面もある。舞妓には,場の力がある。

 八坂の塔の前でおぼつかない足取りで歩く二人の舞妓姿がいた。そこに,向こうからきた観光客のおばさんたちがいて,二人に話しかけた。本物ではないことは直ぐにわかったようであるが,一人が直ぐにカメラを取り出して,写真を撮らせてくれと言った。偽舞妓の二人は,戸惑いながらぎこちなくポーズを取るのであった。

 観光客は,こうした偽者を嫌うものだとばかり思っていたので,意外な展開であった。
 かなり前のこと,祇園新橋の近くの中華の店で,地元のおばさんが,店の人と話していた。もちろん京都弁であるが,要約すると,今そこ(白川のあたり)に舞妓に変身した娘がいた,人だかりがしているので,見てみるとものすごく可愛くて似合っていて本物以上だった,という話だった。

 チャン・ツイ・イーの例もある。形の持つ力を感じるとともに,本物にはオーラがあるというより,オーラのあるものが本物なのかもしれないと思う。

 舞妓ばかりでなく,芸妓変身もあり,最近は,娘が舞妓に母親が芸者に変身するのが主流らしい。舞妓より芸妓を装うのは難しいように思われる。しかし,今や,軽々と芸者になりおおせることのできる母親も多いのかもしれない。

| コメント (2)

2006年11月 1日 (水)

正倉院展の行方は

Shosoin  国立博物館は独立行政法人となり,これまでの東京,京都,奈良のほかに,2005年に九州国立博物館ができた。奈良国立博物館は,規模の面で京都に及ばないが,入場料収入は2005年度で京都の2.5倍近い。こえrは,奈良国立博物館が,多くの入場者を確保できるのは,「正倉院展」という売り物があるからに違いない。毎年,10月から11月の観光シーズンに3週間にわたって開催される正倉院展は,全国から集客する力がある。展示されるのは,どれも千年以上前に作られた品々である。

 さて,今年の第58回正倉院展は,10月24日から11月12日までであるが,新しく読売新聞が「協力」となり,熱心な宣伝活動をしている。

 そして,皇太子夫妻の公務としての正倉院展見学も実現した。昼間は行列できるような混雑なので,公開が終わった後の見学となり,そのため,京都御所での宿泊となったのだろう。

 通常は午後6時までだが,金曜日は,午後7時まで延長されている。この延長時間に行って見学したが,行列はなく,見学者は少なかった。

 「聖武天皇の1250年目の御遠忌」であるので,「今年の正倉院展の宝物は,聖武天皇の業績を物語る品や遺愛品が多く含まれる点に特徴があ」るとのことである。そのため,蘭奢待や琵琶のような毎年の目玉となるシルクロード渡来品の出展はなく,地味な国産品ばかりであった。テーマを明確にしようという意欲は理解できるものの,集客は大丈夫かと少しばかり気になった。

| コメント (0)

« 2006年10月 | トップページ | 2006年12月 »