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2005年8月22日 (月)

『震度0』と「情報」

sindo 横山秀夫『震度0』(朝日新聞社,2005.410p.)は,最後まで集中力を切らさずに読むことができる。時代は,はっきりしていて,1995年1月18日から20日までで,舞台のN県は,神戸から700キロ離れている。大地震が起きて数千人という死者が出ている中で,N県の警察内部で起きた権力抗争がテーマである。

 県の警察の椎野本部長と冬木警務部長は,キャリアであるが,35歳で同期のトップを走る警務部長と本部長とは対立している。たたき上げの部長たちは,この冬木部長の下にいて,椎野本部長のお気に入りの不破課長が,行方不明となった。乗っていた車は乗り捨てられたままで,どこに行ったかわからない。

 県警としては,これを外部に知られたくないので極秘に捜査をする。その過程で対立があり,隠されていた事実が明らかになっていく。

 警察の内部は,こんなひどいんだというよりは,ここで起きるような男同士のエゴイズムによる保身とやっかみによる抗争は,どのような組織でもあるわけで,大人の世界でもあり,子供っぽくもある。

 二つほど面白いと思えたことがある。一つは,取調官の城田がみせる「落とし」の技術である。不破課長の乗っていた車のトランクにゴルフバッグがあったが,その中に5番アイアンがなかった。5番アイアンは,自宅のソファーの下に隠されていた。ここからどのような物語を組み立てるか,である。

 もう一つは,冬木部長の若い妻の「手の込んだ料理よりも可愛い仕種よりも(夫は)『情報』にメロメロなのだ」という述懐である。冬木は,自分が知っていた「情報」を不覚にも披露してしまい,後悔にさいなまれる場面がある。

 どれほど多くの情報を得て,全体像を先に作りあげたものが主導権を得るという話でもある。ただ,「情報」は小説の主役には成り得ないが。

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2005年8月12日 (金)

国立国会図書館の電子雑誌

ndl  見たい本があったので,国立国会図書館(東京本館)に行くことにしました。なかなか,閲覧で国立国会図書館に行く機会がありません。

 利用者の入口は本館と新館の二個所ありますが,どちらも同じです。まず,ロッカーに手荷物を預けます。このロッカーは100円ですが,使用後に戻ってきます。ノートやパソコンなどを持ち込む場合は,用意された透明ビニール袋に入れます。このビニール袋は少し,弱々しい感じで,自前のビニール袋を持っている用意のいい人もいました。

 前回と異なるのは,入館の際にカード発行機で利用者カードを作るという点です。これは関西館で経験済みですが,私は,既に利用登録をしているので,IDとパスワードを入れるだけで,利用カードが出てきます。そうでないと,名前,住所,電話番号を入力しなければなりません。これでも,国立図書館の中では,簡単なほうだと思います。

 利用カードを入館ゲートに通せば,入館できます。本館のフロアには,百台にもなろうかという目録用パソコンが並んでいて壮観です。

 さて,本を見たあと,電子雑誌,データベースの利用を試みました。国立国会図書館がどのように電子雑誌などを提供しているのか,興味がありました。

 

科学技術・経済情報室に行きました。ここにも検索用端末があります。そのうち,6台で電子雑誌,データベースを使うことができます。データベースとしては,初めてみるISIの統合パッケージweb of Knowledgeや,国内のJDream,医中誌Webなどがあります。電子雑誌は,Science Direct,ProQuest5000,EBSCOhostなどがあり,これだけでも1万2千タイトルにはなるでしょう。

 利用時間の制限はなさそうです。8月で特別な時期であるので,普段はどうかはわかりませんが,午後3時頃には,6台のうち4台が利用されていました。

 さて,出力はどうなるかです。パソコンは見慣れない日立のFLORAですが,CD-ROMやフロッピーディスクなど入出力機器にはテープが巻かれて使えないようにしてあります。もちろんUSBも使えません。

 印刷を依頼する用紙があり,パソコンで出力画面で「印刷」を指定して,利用カードとパソコン番号,ページ数などを記入し,カウンターに持っていきます。問題は,受け取り場所で,科学技術・経済情報室は,本館2階にあるのですが,印刷したものの受け取り場所は,新館1階の電子資料室まで行かなければなりません。

 それほど遠くはないのですが,そうなると検索端末の前に荷物を置きっぱなしにするわけにもいかず,全体的に移動することになります。

 電子資料室で,印刷結果(有料)を受け取って,ここにも検索用パソコンが10台あり(5台が使用されていた),こちらで続きを行うことにしました。

 データベースの検索結果や電子雑誌の記事の印刷したものをどう提供するかについては,多分,まだ試行錯誤の段階のようです。二個所に分かれていて,手続が少し面倒といったところです。

 全体として,国立国会図書館は,格段に使い勝手がよくなっています。広々としたスペースで大勢の人たちが,集中して調べ物をしているのは,見ていて心の落ち着く,また励まされる光景です。

 明確な目的を持った人々を対象としたサービスの展開は,成功しているように思います。

 退館は,カードを返却するだけです。今,気付きましたが,ロッカーで戻った100円を忘れてきました。

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2005年8月11日 (木)

「海賊版撲滅キャンペーン」

 2005年3月から映画館で予告編が終わって本編が始まる前に,大写しになった15歳くらいの少女が涙を流し,その涙が黒くなり,「映画が盗まれている。感動も盗まれている」,「私は観ない,私は買わない」と声とテロップが入る「海賊版撲滅キャンペーン」ビデオが流されています。これは,<a href=http://www.jimca.co.jp/>日本国際映画著作権協会</a>のキャンペーンです。

 不正コピーの製作,販売をやめさせようとするのはわかりますが,映像としては不快としか言いようのないものです。全体に暗いし,高圧的な態度が伺えます。

 映画館まで見に来てくれる大事な観客に対し,どうしてこのような出来の悪い,センスの全くない映像をみせるのでしょう。大きな批判があるのに,全く意に介することのない態度から,観客はハリウッドの体質をかぎとってしまうと思われます。

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2005年8月10日 (水)

spamメール対策

ohoshori 『情報処理』という情報処理学会の会誌では,spamメール、すなわち迷惑メールが特集されていて,興味深い内容です。

 総務省総合通信基盤局事業政策課の景山忠史氏によれば,日本のspamメールの特徴は,携帯電話に着信するものが7割と他の国に比べて圧倒的に多いことで,また,迷惑メールは,出会いサイトとアダルト商品販売が多いとのことです。

 安藤一憲氏は,spamメールのフィルタリング技術を紹介していますが,最もよく使われているのは,ベイジアンネットワークの考え方を用いたフィルタリング技術です。「経緯はともかく現在ネットワークユーザーの身近で最も役に立っている人工知能分野の成果はベイジアンネットワークかもしれない」という話には,1980年代の人工知能ブームを思い浮かべると苦笑させられます。

 この方式では,spamメールの件名などを学習させ,判定に使います。

 spamメール対策のために,通常使うメールソフトとは別に,もうひとつメールソフトを使っていますが,このソフトはベイジアンフィルタを使っています。

 以前は,英語のspamメールが主体でしたが,次にロシア語や中国語が出てきました。現在は,日本語のものが主流となりました。

 「たいへんご無沙汰しております」や「依頼メール」といった件名の迷惑メールは学習させるべきではないのでしょう。

 それにしても,フィルターは,下品な言葉やみだらな言葉ばかり覚えるわけで少し心配になります。

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2005年8月 9日 (火)

キーボードの憂鬱

tk-u89mpsv 使っていたキーボードが,パソコンとの相性が急に悪くなり,暴走を始めたので,新しいキーボードを買うことにしました。

 使っていないキーボードはあるのですが,パソコンの附属品としてついてくるキーボードは,全く使わないテンキーがついているので,場所をとり,どうにも気に入りません。ビックカメラのキーボード売場で,小一時間ほど検討しました。

 その結果,エレコムのTK-U89という機種にしました。普通のキーボードはキーの数が102ですが,これは,右側にあるテンキーなどがないので89キーでかなりコンパクトです。

 これを使っているのですが,どうにもうまくありません。キーの配置です。これまで,左下にCTRLキーがあり,ショートカットでこのキーをしょっちゅう使っていました。ところが,新しいキーボードでは,その位置にはFnキーがあり,CTRLキーはその右隣です。この押し間違いが頻度高く生じます。

 また,ENTERキーの右にHOMEキーがあり,ENTERを押す時に誤ってHOMEを押すことがしばしば起きてしまいます。

 いずれの場合もそのたびに操作を取り消し,やり直さなければならないので,ストレスが生じます。

 仕方ないので,FnキーとHOMEキーを取り去ってしまいました。これで何とかストレスは解消しました。FnキーとHOMEキーがなくなっても私は困りません。

 グラフィックインターフェースになって,パソコン操作は,便利になったわけですが,マウスとキーボードという二つの入力装置が必要ということになりました。それでもマウスは改善されているのに,キーボードには,改善のきざしは見えません。

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総選挙は新陳代謝の機会

koizumi1 あれよあれよという間に総選挙になりました。

 「国政の遅滞は許されない」などと言う議員がいますが,どうせ夏休みではありませんか。お盆を過ごし,世界陸上や高校野球やサッカーのイラン戦を観ている間に投票日がやってきます。この際,新しい体制になったほうが今の閉塞状態から抜け出せるはずです。

 私は,衆議院議員一覧;という議員データベースサイトを作っているので,総選挙の影響はかなりあります。

 前回の2003年総選挙では,選出された480名のうち新人が100名,元職が57名でした。その前の2000年では,新人106名,元職23名でした。120名から150名ほどの議員のデータを調べて更新する必要があります。最近は,自分のサイトを持つ議員が増えたとはいえ,かなりの労力を要します。

 しかし,総選挙をすれば,議員の1/4から1/3は入れ替わり,100人ほどが新しく議員になります。引退したり,落ちたりするのは多くは高齢者であり,新陳代謝が行われます。これは,結構なことだと思われます。

 前回,自由民主党は,比例区単独候補の定年を73歳とし,85歳の中曽根康弘,84歳の宮沢喜一両元首相に対し引退勧告を行いました。当然のことでしょう。「大勲位」こと中曽根氏は納得せず,「小泉首相は『引退は本人の判断に従う』と言い続けていたのに、こんなに非礼なやり方はない」と憤慨。「全国の老人が反感を持つ」などと強い口調で首相を非難した」(朝日新聞)そうです。

 引退を促す執行部側がどう考えても正しいのに,新聞やテレビは,中曽根氏に同情的なふりをしてみせていました。

 綿貫民輔氏は1927年生まれで78歳ですが,選挙区であるし,かなり強いので,まだまだ現役で頑張られることでしょう。

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2005年8月 8日 (月)

岩井志麻子『志麻子のしびれフグ日記』に驚く

 03021141  岩井志麻子『志麻子のしびれフグ日記』(光文社,2003.298p.)は,この作家のエッセイはどのようなものかと思い,何気なしに読んだのですが,驚きました。

 これは,『小説宝石』に,毎月,一年間にわたり連載されたエッセイ集です。「返せんがな」,「ごちそうしてもらったりしたのだよ」,「わしを激昂させたわい」といった文体に驚いたわけでも,ホーチミン市のレストランのウェイターに一目惚れして何度も訪れるというのに驚いたのでもありません。

 また,露悪趣味的な話題を含め,周囲の人々の生態が下品な形容で語られるのも,さして驚くほどのことではありません。

 ともかく,驚いたのは,最後の部分で,えっ,そうしたことだったのか,それにしては,多少のほのめかしはあるけれど,えらくストイックではないか,と思いました。

 一人称で,肝心大のことは語らないいわば,『アクロイド殺し』のようでした。日記でこうした意外な結末になるなんて。

 インターネット上でいくつか感想文を読みましたが,誰も驚いていないことにも驚きました。

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2005年8月 7日 (日)

圏外

makaze 明治30年代の学生の風俗を描き,当時のベストセラーになったという小杉天外『魔風恋風』を読もうと思い,グーグルに「魔風恋風」と入れて探したら,ebookjapanで電子書籍として販売していることがわかりました。

 岩波文庫にもありますが,電子書籍で手に入れようと思いました。購入するには,当然,登録しなければなりません。そこで登録作業を始めました。生年月日の入力欄があり,生年,月,日をポップアップメニューから選択する仕組みになっていました。

 私は,ここのプロフィール画像とは大違い,1947年生まれの男性です。生年のメニューは1950から始まり,2005で終わっていました。1947は選択できないのです。

 大きなショックと戸惑いを覚えました。1949年以前生まれは,お客として想定されていないのです。高齢者をネット社会から追い出す陰謀が静かに進んでいるようです。

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