2017年7月31日 (月)

祇園祭山鉾巡行後祭と還幸祭

 朝早くの新幹線で京都へ行った。地下鉄に乗り換え,御池の駅から地上に上がるとちょうど,先頭の「橋弁慶山」が動き始めたところだった。
 祇園祭の山鉾巡行は,50年ほど前までは,前祭と後祭に分かれていたが,交通混雑のため,合同となっていたが,2014年からまた,前祭とは別に後祭が一週間後に別に行われるようになった。交通などより観光が優先されるようになったのだろう。
 前祭は,長刀鉾を先頭に四条烏丸方向から四条通,河原町通,御池通,新町通とまわっていくが,籤改めの場所は,四条寺町の御旅所の手前にある。いつもここで見物しているが,今年は来ることができなかった。
 後祭は,山鉾は御池通,河原町通,四条通と逆にまわるらしいが,籤改めの場所がよくわからない。地下鉄御池駅で貰った巡行の地図で示されているあたりまで歩いて行った。ようやく京都市役所前であることが判明した。前祭では,御池通に有料観覧席が設けられるが,後祭は,まだ知名度が低いためなのだろう,観覧席は設けられず,観光客は道の両端にせいぜい二列程度で待機しているだけである。観客数は圧倒的に少ない。外国人は多い。曇っているので,それほど暑くはないのが助かる。
 山鉾の速度は,おそろしくのろい。後祭の先頭で籤をとらない「橋弁慶山」については,たまたま読んだばかりの中村理聖『若葉の宿』集英社,2017. 237p.)の主人公が橋弁慶町にある小さな旅館の娘で,「橋弁慶山」も出てくる。この小説は,引っ込み思案の22歳の娘が,京都の有名老舗旅館の仲居として勤めるうちに,その旅館のトラブルを知ることとなり,自分の家の旅館をやっていこうという気になるという内容であり,登場人物の造形はまだまだであるが,続編は読みたい。
 二番目の「北観音山」は,山ではなく鉾である。三番目が「鯉山」で,少し前にNHK BSで,この「鯉山」に飾られたタペストリの由来を取り上げていた。16世紀にベルギーのブリュッセルで製作されたタペストリを切ってつなぎ合わせたもので,画題はなんとトロイ戦争のプリアモスだという。時空のかけ離れ方に驚く。ただ,残念なことに,正使が,緊張したのだろうか,籤札を落してしまった。初老の方であるが,奉行との距離が開きすぎていて,落としそうな予感がした。
Atomaturi2017  用事があったので,御池の方に向かい,最後に位置する大船鉾を見上げた。後祭復活に際して,新しく作られた。以前,宵山でみた時より,小ぶりで細い感じだった。NHKBSの中では,大船鉾の製作も扱われていた。他の鉾とは違った形であり,大勢が乗り込むので重心は高いし,辻回しはあるしで,設計のご苦労がしのばれる。
 寺町通りをやってくる花笠巡行を少しだけ観た。
 夜は,「還幸祭」があり,御旅所を出た三基の御神輿が市内を回るのであるが,これも時間がかかる,ようやく,大丸の裏の錦小路通をやってきた「西御座」に出会った。「錦」と染め抜いた法被を着た百人以上の男衆は,どういった人たちなのかといつも思う。


2017年7月 6日 (木)

ドラマ『やすらぎの郷』:甘えてはいけない。時に情けはない。

 ある年代層のゴシップ好きの人々は,テレビ朝日の昼の連続ドラマ『やすらぎの郷』を欠かさず観ているはずである。毎回,最初に前回のダイジェストがあり,次に中島みゆきのバラード『慕情』を背景に出演者紹介が流れ,15分の帯ドラマが始まる。

 かつて,テレビで活躍した俳優達が余生を送る「やすらぎの郷」で起きる事件を石坂浩二を仲立ちに語っていく。入園者は,いずれも70歳を超えているが,「やすらぎの郷」のスタッフは,草刈民代から松岡茉優までがいる。松岡茉優は,とても得な役だ。八千草薫,浅丘ルリ子,加賀まりこ,野際陽子,有馬稲子,五月みどり,冨士眞奈美とエピソードの中心は女優である。藤竜也が無口で誠実で男らしい,高倉健のような役だが,何だか違っていた。

 そうドラマティックなことがおこるわけではない。老優たちがときめくことがあっても,結局は,中島みゆきが歌う「甘えてはいけない。時に情けはない。」に残酷にも収斂されてしまう。

 いつも出ているのは,石坂浩二,八千草薫,浅丘ルリ子,加賀まりこ,それに,ミッキー・カーチス,山本圭であるが,加賀まりこが気になっていた。加賀まりこは浅丘ルリ子といつも二人で脳天気で,他人に辛辣な言葉を浴びせているが,浅丘ルリ子に比べれば脇役的存在だった。ところが,加賀まりこは石坂浩二に真情を話して泣きだす。これは,意外だった。誰でも歳をとって直面するおそれであるが,これを加賀まりこに演じさせるとは思わなかった。

Yasuragi2  繰り返しになるが,これまで,なんと言っても面白かったのは,4月末から5月にかけての「茄子の呪い揚げ」である。八千草薫が教える「茄子の呪い揚げ」は,深夜,たっぷりの油を熱し,その中にに串を刺して茄子を入れながら腹が立つ相手の名前を叫ぶと,その人に不幸がやってくるというもので,浅丘ルリ子が実行する。効果は覿面だった。

 先頃の選挙結果は,大勢の怒れる人々が「茄子の呪い揚げ」を行ったからであると言われている。


2017年6月21日 (水)

ギンザシックスと観世能楽堂と落語

  銀座の松坂屋の跡にできた13階の商業ビル「GINZA SIX」は,2017年4月20日に開店した。新しいものは見たいが,大勢の客がつめかけている様子なので,遠くから見るだけで終わっていた。ギンザシックスの歩道側には観光バスの乗降場があり,四六時中,外国人の観光客で混雑している。

 ここに,渋谷から観世能楽堂が移ってきた。この能楽堂で,立川志の輔師匠の落語の会を行うとのことなので,行こうと思った。志の輔のチケットは,通常では買うことができない。今回は,オークションで入手した。

 20分前にギンザシックスに到着した。能楽堂入り口は地下三階というので,地下に向かうエスカレータに乗った。地下二階は,食べ物のフロアであるが,ここから下にいくエスカレータはなかった。地下二階を一周してみたが,下に行く階段は見つからない。エレベータはあるが,地下三階には停まらない。あわてて,また一階にもどって,案内所を探したが,そうしたものはなかった。入口が別なのかと思って建の外側を一周した。間に通路をはさんだ,複雑な構造になっているようだった。それでも地下三階への道は見つからなかった。

 開演時間が迫ってくる。もう一度,地下二階を一周した。よほど切羽詰まった様子に見えたのだろう,ある店の店員が近づいてきて,「お困りですか」と声をかけてくれ,行き方を教えてくれた。本当にありがたかった。
Kanzenogakudo

 当然とは言え,屋根付きの能舞台が室内に収まっている。三階分の高さがあり,それで建物の端に置かれているわけである。中正面の席だった。能舞台の上に高座となる台が置かれて紺色の布がかかっていて,その上に大きな座布団が乗っている。間もなくお囃子がはじまり,志の輔師匠が登場し座った。ひとしきり,能舞台で落語をすることになった事情や,能の鑑賞法,落語との違いと類似点を述べた。

 高座は,舞台に斜めに中正面に向けて置かれている。能の客席は,正面,脇正面,中正面に分かれている。能舞台には能楽師が面を被ったときに自分の位置を確かめる役割の目付柱がある。しかし,この目付柱は観客にとっては観るのに邪魔になるので,普通は中正面の料金は最も安い。しかし,この能楽堂では目付柱を外すことができるのでとってもらった。従って,どの席も同じ料金であると笑いをとった。

 まず,『バールのようなもの』を演じた。途中,長唄三味線をはさんで,後半は,『八五郎出世』だった。八五郎は随分酒をよく飲むと思った。

 帰りは,エスカレータで地上まで出ることができた。


2017年5月 1日 (月)

「ナスの呪い揚げ」に期待

 NHKの連続テレビ小説『ひよっこ』の主人公のみね子(有村架純)とは,ほぼ同年齢である。まだ,東京篇が始まったばかりであるし,もはや当時の記憶もはっきりしないけれど,全体的に何か違うと思う。出演者たちにも馴染めないし,ユーモア感覚が合わないし,オート三輪やボンネットバスを強調する演出にも魅力を感じない。

Yasuragi  テレビ朝日の平日昼の帯ドラマ『やすらぎの郷』は,最初の頃の回で石坂浩二が,息子の妻に形見に欲しいと求められた亡妻の着物を庭で焼く場面を観ただけだった。どうしても見逃してしまう時間帯である。ところが連休中,二日4時間にわたって『やすらぎの郷』の再放送があり,これを観て,背景や人間関係がわかった。

 妻を失った菊村栄(石坂浩二)は、東京の家を息子に譲り、自分はテレビに功績のあった者だけが無料で入れる老人ホーム『やすらぎの郷』に入居する。それぞれに個室が用意され,運動,飲食施設があり,女性スタッフは,みな元キャビンアテンダントである。浅丘ルリ子,有馬稲子,加賀まりこ,五月みどり,野際陽子,八千草薫らが登場する。入居者の元俳優らは,必死に体裁を守ろうとする反面,むき出しの本音やエゴイズムを覗かせる。

 脚本の倉本聰の年齢は,ちょうど一回り上で,その他の出演者たちは比較的近い年代である。おそらくこのドラマは,年代や環境が限られた層にしか理解されないだろうと思いつつ,毎回観たいと思うようになった。少し前の回で,欲のない善人,聖女のように振る舞っていた八千草薫が,浅丘ルリ子に「ナスの呪い揚げ」の方法を伝授する場面には笑った。

 その他のドラマでは,『ボク、運命の人です。』が,意外性とイージーなところが入り混じり,展開に工夫があり,毎回観ている。


2017年4月14日 (金)

病院の「改善」

 朝早くに検査の予約があり,病院に行ったら,玄関口に,白衣の医師達や,看護師長らが両側に並んで来院者を迎えているのをみて仰天した。いつから行われているのか知らないが,昨年末に読んだ本のことを思い出した。

Nagashikoumuin  山田朝夫『流しの公務員の冒険』(時事通信出版局,2016. 292p.) は,旧自治省の官僚だった筆者が,大分県久住町や臼杵市,愛知県安城市などを渡り歩き常滑市の副市長として赤字を抱えた古い市立病院の再生に取り組んだ記録である。新病院建設にあたり,無作為に選んだ市民100人の会議を開催して市民の意識を変え,市民の意見を反映するようにつとめるなど市民と病院のコミュニケーションを円滑にするようにした。そして,病院は,毎日,開院時間には,院長や看護婦長が来院する患者を出迎えるようにした。これによって,病院管理者層は,どのような人々が病院に来ているかがわかるようになった。重要なことと思う。

 入院していた病院は,来年春に大規模な新棟が完成するので,一年前から新棟開館を控えた準備が始まっている。ちょうど,入院していた頃が,4月からの新体制を導入しはじめたところだった。

 病室に入ってくる看護師は,それまでは,最初に名乗るだけであるが,IDカードをつけているので,名前がわからないということはなかった。今度からは,患者の近くにプラスチック製の名札を置くことになった。「担当看護師 ○○○○ よろしくお願いします」と書かれている。最初の頃は,これを置くのを忘れる看護師が多かった。指摘すると「二つ余っていてどこだか忘れてたけどここだったのか」と言って置いていった。交代時に回収していかないことも多かった。看護師にとっては,面倒なことが増えたということだったのだろう。病棟の看護師長が名札が置かれているか点検に来たこともあった。

 入院した時には,病室の入口には,病室内の患者の名前が掲げられていた。四人部屋なら,ベッドの配置に従って名が示されていた。ところが,この「新体制」のおかげで,病室からの病室にいる患者の名札は全て取り去られてしまった。面会者には,部屋の番号と位置しか教えないので,入院患者のところに無事に行き着けるか不安を抱かせる。さらに,看護師は何人もの患者を受け持っているが,患者は分散配置されているので,自分の患者がどこにいるか確認できないと嘆いていた。これが個人情報保護の病院界のスタンダードなのかもしれないが,愚かなことと思われた。

 外来の検査のあとの診察で,自然治癒力で治ったんですねと言われた。これまで,そば,ラーメン,肉のロース,うなぎ,生魚,それにコーヒーの摂取は禁止されていたが,暴飲暴食しなければ,もう何を食べて飲んでもよくなった。


2017年4月13日 (木)

カーリング男子世界選手権

 カナダのエドモントンでカーリング男子の世界選手権が行われていた。NHKBSでは,日本の全試合と日本は出ないが,準決勝と決勝を中継した。一日,三つのセッションがあり,各4試合が行われ,日本では試合開始が午前0時,5時,10時だったので,観戦できた。
 昨年は,4位と健闘した日本チームは,中盤までは,健闘したものの,延長戦で米国に負けたあと,最下位だったロシアには勝ったものの,最後にカナダ,スイス,中国に連敗し,7位で終わった。

  ○日本 9- 5 イタリア(9)
  ○日本 9- 6 オランダ(11)
  ●日本 7- 4 スコットランド(6)
  ●日本 5- 8 スウェーデン(2)
  ○日本 7- 4 ドイツ(10)
  ○日本 9- 7 ノルウェー(8)
  ●日本 6- 7 米国(4)
  ○日本12- 4 ロシア(12)
  ●日本 2-10 カナダ(1)
  ●日本 5- 6 スイス(3)
  ●日本 2- 9 中国((5)

 昨年,悔しい目にあった米国には勝って欲しかった。

 国内の報道では,来年の冬季オリンピックの出場権を得たことが大きく報道された。カーリングに限らずオリンピック至上主義のスポーツ報道は歪んでおり,どの競技も,毎年の世界選手権やワールドカップのほうが重要である。

Curlingmen2017_2  今回,日本チームの問題はスキップの不調にあったと思う。前半は,校長だったが,カナダ戦あたりから正確さを欠くようになった。最終の中国戦は,酷い内容だった。スキップのラストストーンが失敗することが多く,開始直後から連続スティールされた。ゲームのショット成功率が58%では勝てない。中国のスキップは,96%だった。

 この大会では,カナダチームが,予選から決勝まで無敗で優勝した。決勝戦ではスウェーデンが粘ったが,それでもカナダに勝つことはできなかった。日本は,カナダ戦第4エンドで一挙に5点を取られてしまった。今回,出場のカナダチームは,これまで世界選手権の出場実績は乏しい。しかし,スキップのグシュー選手は老練で,自分たちの一投を成功させるだけではなく,常にその後に相手が投げにくい形になるように配慮している嫌なスキップであるそうだ。


2017年4月 6日 (木)

染井吉野満開幻想

Someiyoshino201704  入院している時,桜が満開となる前に退院できるだろうという見込みがあった。そして,退院して一週間後,染井吉野が満開となった。ただ,今年の桜は失敗という感を拭えない。

 東京では靖国神社の中にある染井吉野の標準木が3月21日に間の悪いことに冷たい雨の日に開花した。しかし,その後,なかなか咲くことはなかった。そして,4月2日に突如,満開の宣言がなされた。 

 東京の桜が満開となったとテレビの気象予報士はそろって繰り返したが,その度に,他のアナウンサーは,今日見た桜はまだ満開にほど遠いという実感を遠慮無く口にした。要するに,標準木というのが少しも標準的でない桜だったわけである。しかし,気象予報士は,気象庁と異なることを言うことはできず,実感とは異なっていても満開と言い張ったわけである。

 しかし,テレビなどの天気予報全体で,誰もが桜が咲くのを待ちわびていて,満開になれば花見をするものと決めつけているのも事実である。標準的サラリーマンは花見をするという幻想から抜けることができない。それどころではない人々が大部分であるのに。


2017年3月31日 (金)

入院

  今から三週間前のことだった。昼過ぎ,体調が悪く,パジャマ姿で寝ていたが,40度の熱で呼吸困難となり,救急車で病院の救急外来に搬送された。酸素吸入のおかげか救急車の中で意識は戻った。数時間の検査の後,十二指腸穿孔,つまり十二指腸に穴が開いているとのことだった。直ぐに手術をしたほうがよいという意見が最初は強かったようだが,院内で別の緊急外科手術があり,直ぐには手術ができないとのことで,結局,徐々に穴を塞ぐ療法となった。集中治療病室に移され,腕から点滴を受け,酸素吸入,心電図の常時監視で眠られぬ一夜が開けた。

 次の日,まず,鼻から十二指腸までチューブが入れられ,腸壁に刺激を与えないように腸液を全て外部に出し始めた。また絶食水となり,栄養を補給するために輸液や生理食塩水を点滴で身体に入れるのだが,腕からの点滴では足りないので,首からCVカテーテルを挿入した。何種類もの薬物がこうして身体に入れられるのであるが,看護師が「ライン」と呼ぶ管が身体中を覆う状態となった。ただ,熱があるわけでもなく,身体はほぼ健康体である。

 看護師が絶え間なく訪れて,全てが機能しているかチェックしていく。点滴の量を調整する「ポンプ」と呼ばれる機器が三台ついていて,何か起きるとこれが警報を鳴らす。しかし,管だらけのこうした状態にもやがて慣れてしまう。三日後に,集中治療室から出されて隣の病室に移され,さらに三日後,消化器外科病棟に移った。管の数は減らないが,心電図の監視はなくなり,酸素吸入もやめになった。

 最初は,この機会に本を読んだり,パソコンで仕事をしようと思った。ところが,読書意欲は減退し,面会者が気を利かせて大量に持ってきてくれたドイツ,北欧ミステリも,そのまま持ち帰ってもらった。パソコンは,病棟にWiFiがなく,自分で手当する必要があった。やがて,それほどまでしてどうするという気分が強くなった。前から持ってはいたが,ほとんど使っていないスマートフォンがあり,のろのろとメールを入力して最小限の連絡をした。要するに治療恢復に専念するという気持ちになった。もちろんテレビは観る。大相撲を初めて15日間欠かさず観たし,国会中継や都議会百条委員会の証人喚問も最初から最後まで観た。

 これまで,検査や白内障手術で短期の入院をしたことはあるが,長期の入院は初めてである。入院して最初に行われるのは「IDバンド」の装着である。これには患者番号,氏名,生年月日,それにバーコードがきさいされたプラスティックの細い腕輪である。担当看護師は,病室にナースカートを押しながら入ってくる。ナースカートの天板には,個人の診療記録を見ることができるノートパソコンが載っていて,下にはトレイを置いた何段かの棚があり,両側には,使い捨てのビニール手袋,エプロンの箱などが装着されいる。看護師はナースステーションで担当患者別に,点滴や検査用具,薬をトレイに入れて病室に来る。まず,バーコードリーダーで腕のIDバンドのバーコードを読み取り,名前を言わせ,点滴のバーコードを読み取って確認し,取り替えたり,必要な検査をしたりする。

 後半入っていた病棟は40床ほどあり,多分,二十数人の看護師がいた。看護師は,日勤,準夜勤,夜勤の三交代であるが,日勤では,一人で7,8人を担当しているらしい。異なりで16名の看護師が担当だったが,男性は2名だった。いずれにせよ,医師も看護師もチームで担当している。

 今回,医師と看護師のプロ意識の高さにあらためて感心せざるを得なかった。担当医師は,わざわざ日曜日の朝に出てきてCT検査をしてくれた。鼻からのチューブは固定が難しいので,毎日絆創膏を貼り替える。たまたま,新米が担当していたが,そこにベテラン看護師がきて,細かく貼り方を指南していた。なるほどオンザジョブトレーニングはこうするのかと感心した。一人一人の患者の治療歴や細かい情報が伝えられていく。最初,いい加減に歯磨きをしていたら看護師にみとがめられ,以後,どの看護師もきちんと歯磨きしているかを尋ねるようになった。

 絶食水10日後,ようやく,腸液の汲み出しが終わり,まず水を飲むことができるようになった。しかし,特に水がおいしいとも思えなかった。やがて,食事が摂れるようになって重湯からはじまり,五分粥へと至ったが,食事の時間が待ち遠しいということもなかった。

 いつの間にか全ての点滴が終わり,五分粥段階で退院となり,IDバンドが切断された。19日間の入院だった。退院前に体重を量ったら6キロ近く減っていた。ダイエット手段としたらいささかハードである。


2017年2月 7日 (火)

東京地下鉄銀座線の特別仕様車

 渋谷駅で銀座線に乗ろうとしたら,反対側の終点ホームに1000系特別仕様車両がみえた。二列車を待ち,この電車に乗った。

Ginzasen1000tokubetsu  ハフィントンポストの岸田法眼「【地下鉄走って
90年】銀座線1000系特別仕様車両」(20170125日)では,「東京メトロは201611月に銀座線1000系の特別仕様車両が登場し、2017117日に営業運転を開始した。我が国初の地下鉄電車、旧1000形をモチーフとしたのが特徴で、通常の営業運転のほか、イベントにも使われる予定だ」と説明されている。

 「従来車は現代的な明るい雰囲気だったが、特別仕様車両は旧
1000形をできるだけ再現」とあるように,この車両はさらに古くさくなっている。内装もシートもつり革も違う。

ご自慢の予備灯を見るのを忘れてしまった。


2017年1月17日 (火)

宝塚星組オーム・シャンティ・オーム

Ohshantiom   東京国際フォーラムの宝塚星組『オーム・シャンティ・オーム-恋する輪廻-』(小柳奈穂子脚本・演出)は,インド映画『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』(ファラー・カーン監督,2007)の日本語舞台版である。「恋する輪廻」は日本の映画会社がつけたのだろうが,種明かしをしていると言えなくもない。

 主人公を演じる紅ゆずるとその相手役綺咲愛里は,4月に本劇場でデビューする星組の新しいトップスターであり,この作品は,事前のお披露目という位置づけになる。

 舞台はインドムンバイの映画スタジオで,脇役から抜け出せない青年オームが,人気女優のシャンティに憧れるが,そのシャンティは謎の死を遂げ,オームも命を落とす。しかし,その30年後に生まれ変わったオームは・・・というとんでもない話である。恋愛,喜劇,悲劇,復讐劇,ミステリ,親子の情愛,友情など何でもあり,しかも劇中の映画が『オーム・シャンティ・オーム』で自己言及的である。

 主人公の誕生日の場面は,まるで紅ゆずると綺咲愛里のトップ就任を祝うかのようで,抱腹絶倒なやりとりもある。「ハッピーじゃなければエンドじゃない」といった印象に残る台詞もある,出ずっぱりの紅ゆずるは,疲れをしらず走り回り,綺咲愛里はまるでインド女優のようであった。

 いろいろ無理なところもあるインドの映画がそのまま宝塚のフォーマットにあてはめられ,宝塚の観客は,何の違和感も感じることもなく,作品の世界に浸っていた。


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