2017年1月 2日 (月)

東京から見た元日の富士山

Fuji20160101  元日,歩いていたら,富士山が見えた。意外に大きくはっきり見えた。

 ビルの上からではなくこうした地面のレベルから見えるのが不思議だった。昔は,町中のあちこちからこのように見えたのだろう。前のほうに進んでいくと見えなくなる。

 ただ,この場所から見ることができるのは今年限りである。


2016年12月31日 (土)

事故多発地区,東京の青山

 2016年8月16日の夕方,東京メトロ銀座線の青山一丁目駅の渋谷行ホームで,盲導犬を連れた会社員がホームから線路に転落し,入っきた電車と接触,病院に運ばれた後に亡くなられた。銀座線の青山一丁目駅は,歴史のある駅で,古く狭い,ホームに大きな柱があり,危険であることは確かである。しかし,渋谷行きのホームは,ツインビルの地下一階の商店街から,階段なしで改札口から入ることのできる,今ではほとんど例をみないとても便利な駅である。翌日,銀座から乗って事故現場付近で降りた。関係する方々が集まっていた。

 11月6日の夕方,明治神宮外苑で開催中の「東京デザインウィーク」の出展作品が燃え,家族で来ていた5歳の男の子がが全身にやけどを負って亡くなった。展示物は,木製のジャングルジムのような形で,全体におがくずが付いていたが,暗くなったので白熱灯を点灯したら,熱せられたおがくずが燃えた。短時間に燃え広がったので,子供は助からなかった。死者が出てしまったのだから出展者の不注意はは責められてもしかたがない。明治神宮外苑は散歩のコースの一つで週に数回通っている。事故の翌日にも通った。ただ,うかつなことに,「東京デザインウィーク」が開催されていることも,まして毎年,開かれていることも全く知らなかった。

 12月6日の朝,東京の青山三丁目の青山通りと外苑西通りの交差点で,乗用車に追突されたタクシーが歩道に乗り上げ,通行人をはねた。男女4名とタクシー運転手が病院に運ばれた。重傷者もいる。外苑西通りで女性客を降ろしたタクシーが右折するために車線変更したら後ろから来た乗用車が追突して,タクシーは,前にいたバイクや軽自動車にぶつかり,歩道に乗り上げ,自転車に乗っていた人や通行人の男性をはね,街灯に衝突して止まった。場所は,解体がようやく終わった旧ベルコモンズのあった角である。郵便局に行く用事があったので,事故現場に行き,写真を撮った。
Aoyamajiko  これは,数多くある交通事故の一つであると思うが,タクシーの運転手が60歳代で,ちょうど,高齢運転手の事故が多発というか,よく報道されていた時期なので,ヘリコプタが舞い,テレビ各社の記者が取材に来くるということになったらしい。

 青山一丁目駅から外苑,青山三丁目と事故現場は移っていく。次は表参道か。


2016年12月30日 (金)

今年のスポーツ,三つの残念

 2016年3月27日にカナダで開催中のカーリング女子世界選手権の決勝戦でLS北見は,2連覇中のスイスチームと対戦し,接戦を演じたが,惜しくも敗れた。第8エンドでリードしていたが,スイスのほうが,勝負強かった。この最終戦は,新幹線に乗っていたのでテレビ中継を観ることができなかった。ツイッターやウェブサイトで試合を追いかけていたが,第10エンドの藤澤選手の最後の一投の後,しばらく,何のツイートもなかった。そして,悲鳴のようなツィートがあり,負けたことがようやくわかった。この女子世界選手権のテレビ中継をずっと観ていて思ったのは,日本の小笠原選手も本橋選手も努力家であるが,藤澤選手は,ちょっと違って天性の才能があるということだった。。

 11月19日にヨーロッパ遠征中のラグビー日本代表は。ウェールズの本拠地 カーディフのプリンシパリティー・スタジアムで世界ランク6位のウェールズ代表と対戦した。ラグビー好きのウェールズ人で満員,アウェーである。3年間に遠征してきたウェールズに勝ったが,このときにはウェールズは主力選手を欠いていた。今回は,フルメンバーである。前半は13-14で,後半にはリードされたが,追いついて30-30となった。だが,試合終了間際に何としても勝ちたいウェールズはドロップゴールで3点を入れて,日本は30-33で負けた。これまで日本代表の試合を観てきたが,ウェールズに突き放されずにこうした試合ができることが不思議だった。堀江翔太,田中史朗,田村優,立川理道,山田章仁,松島幸太朗といった選手たちは,昨年のワールドカップ以来,またレベルがあがり,日本代表は,やはり本当に強くなっていること実感した。

 12月18日のサッカークラブワールドカップは横浜市で決勝が行われ,開催国代表の鹿島アントラーズが,ヨーロッパ代表のレアルマドリードに延長の末に2対4で敗れた。クラブワールドカップは,各大陸のチャンピオンと開催国代表アントラーズを加えた7チームが,トーナメント方式でクラブチームの世界一を争った。前半9分にレアルマドリッドが先制,アントラーズは,前半44分と後半7分に柴崎岳選手のゴールで逆転した。しかし後半15分にレアルマドリードのクリスチアーノ・ロナウド選手がペナルティキックを決めて同点となった。延長戦では,ロナウド選手が2点を入れた。アントラーズが,リーグ戦で無敗のレアルマドリードと互角の戦いをした。日本人の誰もが,もしかしてと思った試合で,サッカー日本代表よりもアントラーズは強いのではないかと思ったわけである。

 国の代表と,クラブチームとは全く違うカテゴリであり,決して試合をしないが,ラグビーでもサッカーでも日本一のチームとオールスターの日本代表とどちらが強いか気になる。カーリングはどの国の代表もクラブチームであり,チームワークや練習といった面では有利であるが,問題も多いようだ。国際大会の出場権を取ってきたチームとは別のチームがその大会に出場することも起きてしまう。

 残念といえば,大相撲の稀勢の里は,年間最多勝で優勝なしだった。


2016年12月 1日 (木)

終盤を迎えた『校閲ガール』

Nigekoetsu  そろそろ終盤にさしかかった2016年秋期のテレビドラマは,TBS『逃げるは恥だが役に立つ』と日本テレビ『地味にスゴイ!校閲ガール』を初回から観てきた。両方とも,最近珍しく徐々に視聴率を上げているが,『逃げるは恥だが役に立つ』のほうが人気が高い。

 『逃げるは恥だが役に立つ』は,新垣結衣の主演。一年前に『掟上今日子の備忘録』があったが,記憶が失われ,おかしな衣装という現実離れした役柄だった。今回の原作は,コミックスであるので,無理と誇張が避けられないのは仕方が無い。ドラマティックなことがほとんど起きないこのドラマが支持されているのは,自分の域を固守しつつ,恋愛という問題に偽装結婚はじめ,様々な妥協策で糊塗して正面から向き合わないとても奥手な主人公達に共感を覚える若い人々が多いのだろうと思う。新垣結衣の真面目さは特別である。

 『地味にスゴイ!校閲ガール』のほうが,ドラマとしては面白い。原作の宮木あや子『校閲ガール』は読んでいた。出版社に合格し,女性誌の編集を希望しながら配属されたのは校閲部だった。女性誌の記事内容は完璧に記憶しているのに本を読まない主人公には,絶えられない職場だった。社内の意地悪な女性たちからは,彼女を「おしゃかわ」と言っている。「校閲部のような地味な部署でおしゃれなどしても無駄でかわいそう」という意味だった。それでも,仕事はきちんと行う。最初の頃は,河野悦子こと石原さとみの記憶力と悪口が目立ったが,次第に校閲部と作家だけではなく女性誌編集部の現場も見せるようになった。校閲だけではドラマになりにくいからだろうが,本田翼,菅田将暉,青木崇高,岸谷五朗がバランスよく配置されているという印象。しかし,NHKの『野田ともうします。』で野田さんだった江口のりこが光っている。

 NHKの連続テレビ小説「べっぴんさん」は観なくなってしまった。


2016年11月21日 (月)

本当に強くなったラグビー日本代表

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 欧州遠征中のラグビー日本代表は,ウェールズ代表と対戦した。ウェールズは,世界第6位で,今年の六か国対抗ではエディー・ジョーンズ監督のイングランドに次ぐ第二位だった。ウェールズでは,ラグビー人気が高く,巨大なスタジアムがあり,日本との対戦でも7万4千人も観客が集まった。ラグビー-好きなウェールズ人は,どこが相手でもウェールズ代表の試合を見に来るのかもしれないが。

 ペナルティキックで日本が先制し,その後トライを取られ取り返し,前半は14-13。後半に,27-16と11点差となった時には,スコットランド戦やアルゼンチン戦同様,どんどん差を広げられるのかと思ったが違った。日本は,じりじりと差を詰めはじめ,二つのトライで終了5分前に30-30と同点にした。思ってもみなかった展開になった。

 その後,ウェールズは日本ゴール前で攻め続けるが,トライを取れそうにない。終了1分前に,ウェールズのサム・デイヴィスのドロップゴールで何とかウェールズが33-30で勝った。ドロップゴールで決まるなど,ワールドカップ並である。英国の報道では,サム・デイヴィスがウェールズが赤恥をかくのを救ったという見出しになっている。

 昨年のワールドカップで日本が南アフリカに勝つことができたのは,前監督の周到な準備と長い練習があったからだと言われている。新しいジェイミー・ジョセフ監督になったが,まだ練習期間は短く,日本代表になった選手も多い。それでも,満員の敵地という不利な条件で,こうした試合ができた。相手のオフロードパスの連続にも崩れないディフェンス,相手ボールをもぎ取る力,素早いアタックと素晴らしい出来だった。

 昨年のワールドカップ3勝以来,日本代表は,地力と自信を兼ね備えるようになったようだ。


2016年11月18日 (金)

今年はきれいな外苑の銀杏並木

 毎年,11月23日には東京神宮外苑の秩父宮ラグビー場でラグビーの早慶戦がある。欠かさずと言うほどではないけれど,観戦に行っている。メインスタンドからはバックスタンドの向こうに外苑の銀杏並木の先端が見えて,美しく色づいている。ところが最近は,色づくのが遅くなり,綠のままであることも多かった。

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 今年は,寒波の襲来が早かったためかもしれないが,早くから黄色になり,四列ある銀杏並木の半分ほどは,桜で言えば見頃になっている(左)。ここ数年より,半月ほど早い。また,昨年は,2月に銀杏並木の枝を大量に伐採したこともあり,見られたものではなかった(真ん中)。

 朝早くから観光客が来ているのであるが(右),この9割は,中国からの方々である。

Namiki201602
 さて,この銀杏並木の向こうには絵画館がある。その広場前の看板に貼り紙があった。今日,つまり11月18日から予定されていた「第20回神宮外苑いちょう祭り」の開催中止のお知らせである。あんなことの後であり中止は当然のことであるが,できれば,こうした屋台が建ち並ぶだけのイベントは,今後も止めてほしい。


2016年8月24日 (水)

不思議なバドミントン松友美佐紀選手

 リオデジャネイロオリンピックで良かったと思う日本選手は,個人種目で女性選手史上初のオリンピック4連覇の伊調馨選手,それに,重量挙げの三宅宏実選手,競泳の金藤理絵選手,それに男子体操団体と陸上男子400メートルリレーのメンバーである。

 しかし,こういう選手がいたのかと驚いたのは,バドミントンの女子ダブルスの高橋松友組である。優勝にいたるデンマーク戦での最後の五球の興奮は忘れられず,ビデオで何回も観た。これまでの高橋松友組についてニュースなどを調べているうちに,特に松友美佐紀選手に驚いた。

 普通の日本人の若い女性としか見えない二人はバドミントンの世界では,女子ダブルスのランクで世界一で,金メダル確実とされていたことを知らなかったのは不覚である。海外では実力が認められているばかりではなく,人気も絶大で,ユーチューブには,今年,バドミントンが国技となっているインドネシアで記載されたインドネシアオープン決勝戦のビデオがあるが,中国チームと対戦する高橋松友組には,会場から日本コール,かけ声が絶え間なく続き,まるでホーム状態になっていた。優勝が決まった時,松友選手はインタビューに如才なくインドネシア語で「ありがとう」と答えていた。

 松友選手が,シングルスよりダブルスをしているのは,シングルスでは,相手は一人でしかないが,ダブルスでは,相手の二人とパートナーを含めて三人なのでより楽しめる(研究したり,予想したりできる)からである。「パートナーを含めてコート上の三人をコントロールする」ことが松友選手の究極の目的で,高橋選手を「支配」したいのではなく,自分のショットによって相手の返球のコースを限定して,高橋選手に「気持ちよく打ってもらう」ようにしたいらしい。求道者というわけではないし,金メダルが目標というわけではなく,試合ごとに純粋に相手に勝ちたい,自分ができることを見つけたいと思っているとのことである。なかなかいない変わった選手である。

 真面目で,クールでガッツポーズなどはめったにせず,研究熱心である。もちろん,試合相手も研究してくるから,それを上回らなければならない。決勝戦では,第三ゲームではなく,負けた第一ゲームにこの点で悔いが残ったらしい。「金メダルを取りたいと思ってやってきたが,今日の1ゲーム目はもっとうまくできた。もっと強くなりたい」。

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 そして,第三ゲームで16-19となったとき,松友選手は,「相手に『おっ』と思わせたかった」と何度も言っている。これは,それまでの延長ではなく,相手の予想を完全に外したショットをしてみるということだったようで,緩い球を相手コートの隅に落としてまず17-19とし,次も相手が予想していなかった速いクロスで得点をあげ,18-19。そして,次は,前衛で,相手のコースを完全に読んで,左から右へ俊敏に動き,自分だけで連続三本を打ち込み19-19とした。以後は,高橋選手に任せ,5連続ポイントで勝った。崖っぷちから一気に豹変して,圧倒的な強さを見せた。

 松友選手には,「試合をどんどんしていくうちに,五輪で最後と決めている選手がたくさんいて,それがすごくつらくて,自分の中では。いろいろな選手がいたから,今の自分たちがあると思っているので,本当にもう戦えないと思うとつらかったです」という発言があり,これを,敗者にも思いやりのある珍しい選手と持ち上げている記事もあった。むしろ,世界中にいるライバルとの関係を正直に語っているのだろう。

 その面では,女子レスリングで吉田沙保里選手に勝った米国のヘレン・マルーリス選手にも松友選手と通じるところがあった。あえて,吉田選手と同じ階級を選び,研究しつくして倒した。試合後の態度は立派だった。

 テレビや新聞では,高橋松友組を「タカマツ」ペアと呼んでいるが,リスペクトに欠けていると思う。


2016年6月 2日 (木)

『とと姉ちゃん』のキョトン

 はるか昔,中学生の頃,家にあった『暮しの手帖』をよく読んだ。ユニークな商品テストの方法に感心し,そのために商品広告を載せない潔よさがこの雑誌の主張の一つであることを知った。その後,花森安治の著作を読んだ。しかし,今回のNHKの朝のドラマが始まるまで,『暮しの手帖』の創刊から編集までに,別の女性がかかわっていたことを知らなかった。

Totoneechan  『とと姉ちゃん』も二か月が過ぎた。しかし,『まれ』,『純と愛』,『梅ちゃん先生』,『おひさま』と同じく,続けて観る気が次第に失せている。脚本や演出,主人公,それに演じる女優に好漢が持てないという点が,これまでと共通している。前作『あさが来た』は,主人公ばかりでなく,ほとんどの登場人物,出演者の毎日が気がかりだったし,また,誰もが生き生きとしていた。『とと姉ちゃん』の登場人物は,全体的にくすんでいる。

 制作側は,主人公を常人とは違ったヒロインではなく,普通のどこにでもいる等身大の人物としたいように見受けられる。しかし,そのために朝の連続ドラマで視聴者がストレスを感じてばかりでは困るのではないか。

 主人公常子は,新しい場では,常に孤立する。タイピストとして雇われた会社で,仕事を与えられないので,男性社員の手助けの書類整理を,書類を家にまで持ち帰って夜中までかかり,なんとかやり遂げて,持って行くと「そこに置いといて」と言われただけだった。常子は,褒め言葉を期待する表情をする。しかし,報われなかった。

 リーダーからよせと言われても,別の男性社員から同じような仕事を頼まれて,家に持ち帰ってやり遂げて,持って行くが,やはり,「そこに置いといて」だけだった。その時の主人公のする表情は,前の時と全く同じだった。これはおかしい。

 二回目には,お褒めの言葉がなかったというだけでなく,やっぱりリーダーの言う通りだったという絶望に近い表情も必要なはずである。しかし,演出家はそう考えず,またこの女優もいつものキョトンとした判断停止状態で済ませていた。

 主題歌の歌詞がよく聞き取れないというもの腹立たしさの一因である。


2016年5月30日 (月)

東京芸術劇場の立川志の輔

Tokyotheater  勤め先の近くにある東京芸術劇場には2,000席の大ホール,800席の中ホール「プレイハウス」,それに300席の小ホールが二つある。東京芸術劇場に行くのは初めてであるが,立川志の輔師匠も演劇は観に来たことが自分で演じるのは初めてとのことだった。中ホールは,もちろん満員である。何とか入手した切符は2階の右端だったが、仕方が無い。

 七番弟子が,きちんと古典落語を演じた後,登場である。

 最初は,新作落語「ハナコ」である。飛行機会社の「天候調査」の話から始まる。随分と苦い目にあったことがあるのだろう。ある程度の温泉町の温泉旅館にサラリーマン三人組が,源泉掛け流し,黒毛和牛食べ放題を目当てにやってくる。ところが女将の応対が変である。しきりに「あらかじめ申し上げておきます」を繰り返す。仲居の前田が,子供が熱を出したので,今日は休んでいるので,行き届かないところがあるかもしれないというどうでもいいことを女将は繰り返す。何とか温泉に入り,さあ黒毛和牛食べ放題という時に,ピーマンなど材料の供給農家の人々が一人づつ挨拶をし始める。それで「ハナコ」の正体がわかるが,それは落ちではない。
 「ハナコ」を聞くのは二回目であるが,やはり大声で笑ってしまう。

 もう一つの演目は古典落語「柳田格之進」である。両替商主人と浪人が碁敵であるが,番頭の独断が重大な事態を引き起こしてしまう。最初の三分の一ほど少し集中力が途切れた。マイクのせいなのだるが,志の輔師匠の声が聞こえにくいところがあった。しかし,身体をよじり,しばらく無言で演技し,観客が次の台詞を待つという展開になっていくと舞台に釘付けになる。

 最後は,どういうわけか観客全員での三本締めとなった。


2016年4月20日 (水)

最終回には驚いた傑作『ちかえもん』

 NHKの木曜時代劇『ちかえもん』は,近松門左衛門に周囲がよってたかって『曾根崎心中』を書かせる話である。

Chikaemon  このドラマは放送中は一度も見なかった。しかし,山田太一氏や倉本聰氏が受賞している向田邦子賞の2015年の受賞者が藤本有紀氏で受賞作が『ちかえもん』と知り,俄然観たくなった。藤本有紀氏は,『ちりとてちん』,『平清盛』を書いた一般受けしないが,熱心なファンのいる脚本家である。

 DVDの発売は5月らしいので,NHKオンデマンドという有料のサービスで全8話を観た。予想以上,期待以上の良くできた作品だった。『あさが来た』と同じく大阪のNHKの制作。近松家,平野家,遊郭天満屋,堂島新地,文楽座などセットもリアリティがあり,音楽も斬新である。

 平成16年の正月,50歳過ぎの大阪の浄瑠璃作者近松門左衛門(松尾スズキ)は,スランプに陥っていた。侍をやめ10年以上書いてきたが,『出世景清』以来,当たりがない。妻子に逃げられ,母(富司純子)からは,親不孝者と言われ,年増の遊女のお袖(優香)に愚痴をこぼす毎日である。そこに,派手な格好の孝行糖ならぬ不孝糖売りの万吉(青木崇高),なにやらよからぬ魂胆のありそうな油屋九平次(山崎銀之丞)があらわれる。

 主人公は,当然,近松門左衛門なのだが,存在感は薄い。実質的には,天満屋の新人遊女のお初が中心である。お初を演じるのが早見あかりであるが,愛想なしで器量よしであるものの厄介者,健気だったり,凜々しかったり,妖艶だったりする。さらに三重スパイのような難しい役柄であり,やや,堅い感じもあるが,それもその出自にあっている。早見あかり見ているだけでも満足できる。

 

そして,お茶ひきの遊女で,近松門左衛門を「じじい」呼ばわりするが情愛のある優香もそれに劣らない。『曾根崎心中』初演のあと,芝居への感動の涙と近松門左衛門への安心した笑顔とでくしゃくしゃになった表情が可愛らしい。青木崇高と山崎銀之丞は怪演というにふさわしい。

 しかし,なんと言っても最終回である。最終回には,意外な出来事が続いて起きる。特に万吉の正体には驚いた。近松門左衛門は,お初を中心に人物相関図を作って,物語を動かそうとする。その上では,作者の藤本有紀氏が同じ事をしている。話を進めるためには万吉が必要だった。気がつきにくいが,万吉はこのドラマでは,進行係を務めている。松尾スズキは「ええっ,なぜそんなことする」と思うような冷酷なこともしていた,と後で気づいた。「うそとほんとの境目が面白い」ということばで納得させられる。


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