2012年5月15日 (火)

良くできたドラマ『リーガル・ハイ』

 今期のテレビドラマで第一回目を見たのは,『ATARU』,『鍵のかかった部屋』,『リーガル・ハイ』,『カエルの王女さま』,『Wの悲劇』,『都市伝説の女』だったが, いまも観ているのは『リーガル・ハイ』と『都市伝説の女』だけとなった。

 『都市伝説の女』は,刑事長澤まさみが事件が起きるたびに都市伝説だと元気に騒いでまわっている。

Legalhi 『リーガル・ハイ』は,毎回,展開は込み入っていて,台詞はよく考えられており,堺雅人の顔の演技はみものであるし,このドラマで唯一,感情移入ができる新垣結衣が意外に好演している。第三話のストーカー規制法違反の裁判は,新垣結衣の過去が,依頼人と原告の心情とうまく重なり合い,せつなかった。コミカルな演技もする余裕がある。

その他のドラマは全て主人公役が単調である。

 『家族のうた』は,低視聴率で打ち切りになるが,家族の絆が不評とは思わなかっただろう。そうなると,半年前の『家政婦のミタ』の最近にない高視聴率の原因は,あの一家ではなくて,松嶋菜々子の異様さにあったことになる。早口で短時間で明かされる悲惨な過去を持ち,AKB48のメンバーを全部そらで言い,『ウォーリー』のイヴのようにルービックキューブをあっという間に解いてしまうスーパーウーマンをみなが観たがったのかもしれない。

 NHKの朝のドラマ『梅ちゃん先生』は,『おひさま』よりも出来が悪い。あまりの平板さに「サザエさん」と言われているが,笑いもない。堀北真希は,あまりに幼い。演技力で子供のように見せているのではないらしい。今後の大人の役が楽しみだ。堀北真希と新垣結衣が同年齢とは驚く。


2012年5月10日 (木)

渋谷ヒカリエと東急文化

 渋谷の東急文化会館がなくなり,随分経ってから東急は「渋谷ヒカリエ」なる34階建てのビルを建てた。

Hikarie  早速,行ってみる。上部は事務棟なので11階までしか行くことができない。渋谷は,この頃話題の東京の「スリバチの底」であるから11階ではそれほど眺めがよいわけではない。

 この11階から16階までが「シアターオーブ」という劇場で,7月からのブロードウェイミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」が柿落しの公演らしい。

 東急文化会館には映画館が三つあった。その一つのパンテオンで,中学生の頃「ウエスト・サイド物語」を観た覚えがある。同じような年代の劇場関係者の発案なのだろう。

 9階にあるホールで行われている「渋谷亀博:市川亀治郎大博覧会」が目的だった。ところが,無料とばかり思っていたので,入場料1,200円に大いに驚いた。入場者の制限のためかもしれないとも思ったが,入場料を取るとしてもせいぜい500円であろう。それに,展示にもやや疑問を持った。

 しかし,「義経千本桜」の「河連法眼館の段」いわゆる「四ノ切」の舞台がそのまま公開されているのをみて,納得した。源九郎狐が階段や天井から現れる仕掛けを間近で見ること ができ,写真を撮ってもよい。欄干渡りの板も見ることができた。これはうれしかった。また,亀治郎さんは,役者絵の収集家であるが,そのコレクションも展示されていた。

 この6,7階は,食堂街である。まい泉,美々卯,牛タン利久などと,博多から来て貰った店や,ダイニング,アジアン料理など今風の店が並ぶ。

 1階から5階までは,ファッション雑貨,カジュアルファッション,ライフスタイル雑貨などがあり,若い女性をターゲットとしている。

全体として,空間はゆったりしており,今風なデザインにあふれている。家族連れや高齢者は対象としていないようである。

東急文化会館にはかなり店舗面積のある三省堂書店が入っていた。ヒカリエには本屋はない。映画や本の衰退を感じないではいられない。東急は敏感だ。しかし,ここにあふれている若い女性は,消費してくれる女性たちだろうかとも思った。

 ヒカリエには表参道から行った。去年まで,宮益坂のケヤキの並木は,両側から車道を覆い,夏は陽射しを遮ってくれた。吉田篤弘『木挽町月光夜咄』(筑摩書房,2011)もこの並木に感動している。ところが,冬の間に,かなりの枝が切り落とされてしまった。今年は,何だか情けない姿になっている。区や地元住民の方々の事情があってこうなったのだろうが,残念なことだ。ヒカリエが関係ないとよいが。 


2012年4月 2日 (月)

東京堂書店もか

Tokyodo2012  数十日かけて改装した神保町すずらん通りの東京堂に行く。「Paper Back Cafe」という看板が新しく外壁にかかり,1階の三分の一ほどは喫茶室になっている。二階と三階にも喫茶コーナーがある。

 名物だった大きな平台は,「"知"の泉」という看板がかかって残っているが,並べられている本の量は以前の半分くらいだろうか。1階は,文庫は残り,新書が移ってきた。

 新刊書店の一つの方向は,並べる本を減らしてスタイリッシュにすることであるが,東京堂書店がこの道をとったのは意外だった。もう一つは,在庫の多い,本でぎっしりの書店であるが,神保町では,書泉も三省堂もこちらの方向である。5,6年以上前の新刊書を探すのは大変だが,東京堂書店は頼りになった。ただ,従来の路線では行き詰まってしまって続けられなくなったのだろう。

 今年の2月に新潮社から出た本が見つからないので,店員に聞いたが,在庫がないそうで,この辺には大きな書店の三省堂があるから,そこへ行ってみてほしい」とのことだった。月に2回ほど東京堂書店には行っていたが,気に入っていたことが失われてしまったのかどうかはよくわからない。


2012年3月17日 (土)

『カーネーション』も失速

Carnation_4  寝坊してNHKの朝のドラマ『カーネーション』をみそこなってしまった。オンデマンドで視聴できるのだが,その気にもならない。

 主人公の糸子が,35日から尾野真千子嬢に替わり,夏木マリさんとなった。糸子は,70歳を超えたのであるが,尾野真千子嬢では,老け役は無理なので,交代すると発表があったのは,たしか,放送が始まった後のことである。なにやら背後に理由があるらしく,インタビューされた尾野真千子嬢も不満そうであった。

 問題は,そればかりではない。主役の交代とともに脚本も変わってしまった。これまでの登場人物で継続しているのは,娘たち三人だけで,他の人々はみな亡くなってしまったらしい。個性的な周囲の人々の織りなす様々な事柄が並行して進んでいたのに,それらは,全て捨て去られてしまった。

 そして,新たに出てきたテーマは,糸子が老人パワーを発揮して新しいブランドを「立ち上げ」,その頑張る姿を見せて不良化した孫娘を改心させるという高齢化社会に適合した結構な話である。しかし,これは,あらかじめ結果が予想されてしまうし,その筋道にも,これまでのような工夫が全くない単調な展開である。

 モデルがいるといってもフィクションなのだから,最後のひと月も50歳代のエピソードにしておいて,尾野真千子嬢をそのまま続投させてよかったはずである。わざわざ老いた姿を見せる必要はない。

 長い時間をかけて築き上げてきた高い評価を,一挙に台無しにするNHKの潔さに驚く他はない。4月からの新ドラマが困らないように視聴率を下げておこうという深謀遠慮なおかもしれないが。


2012年3月 4日 (日)

フェルメールのデジタル複製画像展

Vermeercenter  有楽町駅から歩いて松坂屋の裏にあるビルに行く。フェルメールセンターという看板がある。何を観ることになるのか多少不安だった。

 エレベータで5階に行くと入り口があり
1000円を払う。雨で午前中なのに絶え間なく客が来ている。階段を下りると,そこには,フェルメールの全37点の作品のデジタル複製画がぎっしりと並んでいる。

 スキャナーで撮り,退色した部分を復元している。もちろんオーラはないが,色彩豊かなフェルメールの作品を隣り合わせに間近で観ることができるのはありがたいことだ。例えば,同じ部屋の同じ窓辺を何度も使っているのがとてもよくわかる。面白い試みである。


2012年2月28日 (火)

2012年アカデミー賞授賞式

 アカデミー賞の授賞式をWOWWOWの午後9時からの総集編で観た。これでも2時間を超える。

 毎年,細かく趣向が変わっている。司会のビリー・クリスタルのジョークがよくわからない。会場は,「コダックシアター」であるが,コダックの倒産をあげつらうなど,かなり辛辣である。「女性の強い年でした。『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』や『J・エドガー』」というのは,わかった。『J・エドガー』の主人公は,エドガー・フーバーCIA長官であるが,この映画では,フーバーに女装趣味があったことを暴いている。ここまではいいが,ビリー・クリスタルは,本来,作品賞,主演男優賞,監督賞はじめ,様々な賞の候補になってもおかしくないこの作品がいかなる理由なのかわからないがアカデミーから無視されていることを皮肉っているのかもしれない。そう深い意味はないのかもしれない。

 今年のプレゼンターで良かったのは,もちろん,よどみなく候補作を紹介したナタリー・ポートマンであるが,エマ・ストーンも初々しくてなかなかだった。初めての大役で舞い上がって騒ぐ若い女優を好演したという解釈でよいのだろう。

 最初のうちは,『ヒューゴの不思議な発明』が美術賞,撮影賞などを次々に取り,勢いを感じさせたが,結局,『アーティスト』が作品賞,監督賞,主演男優賞を独り占めして圧勝という,逆転劇のような展開だった。

 ウディ・アレンは,脚本賞を受賞したが,代理人も来ないという拒絶ぶりだった。

Roonymara  白いドレスが基調となった中でルーニー・マーラの『ドラゴン・タトゥーの女』リスベットとかけ離れた姿も話題だったらしい。。

  『ヒューゴの不思議な発明』は日本でも公開されているが,題名から想像される中味ではないとあまり評判は芳しくない。受賞した主要な作品『アーティスト』,『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』,『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』が全て日本では未公開という状況は困ったことであるし,第一,プロモーションの点で配給会社自身が困らないのだろうか。


2012年2月22日 (水)

「させていただく」の長い歴史

  「検討させていただきます」は「検討いたします」であるし,「送付させていただきます」は,「送付いたします」とすればよいのだが,時々,無意識に「させていただきます」を使っているような気がする。

 「させていただく」は敬語でも,丁寧な表現でもなく,わずかにあるためらいを相手に報せようとするいかがわしい表現である。IT企業では特に多いと言われるこの「させていただく」は,ごく最近のことばだと思っていた。

 池田弥三郎『銀座十二章』(朝日新聞社, 1965. 295p.)に以下のように書かれていた。

『荷風日記』の昭和九年七月二十一日の記事に, 「銀座所見」として,

喫茶店テラスコロンバン,店頭板がこいにはりたる紙に「閉店させて頂きます」とあり。

とある。これは「させていただく」という,変なことばつかいの流行の例として荷風氏は書き記したのだが,偶然これによって,テラスコロンバンの店じまいの時が記録されることになった。

 「させていただく」が70年前からあったとは知らなかった。

 さらに,40年以上前に,すでに「変なことばつかい」と言われていたことも知らなかった。


2012年2月 5日 (日)

電車の中のマドンナ

『日本経済新聞』の「私の履歴書」は佐久閒良子さんである。練馬から目白の川村学園に通っていた高校の頃,「西武線のマドンナ」と呼ばれていたと書かれている。

 「マドンナ」とは聖母マリアのことであるが,今は,歌手のことであり,死語に近い。『坊つちやん』に出てくる「マドンナ」は戦後しばらく使われていた。寅さんシリーズの女性相手役も「マドンナ」役だった。今,西武線に若き佐久閒良子さんがいたら,何と呼ばれているのだろう。

 大江戸線の中で,髪を金色に染め細いジーンズをはき,マドンナ途上の容姿の20歳前後の女性が座って文庫本を熱心に読んでいる。少しくたびれた司馬遼太郎『燃えよ剣』(新潮文庫)である。

 本当に本にのめり込んでいる感じであったが,突然,涙を流し始めた。『燃えよ剣』を読んだことがないので,よくわからないが,そんなに感動する場面があるのだろうか。中程であったが。この女性がどのようにして『燃えよ剣』に至ったかは,興味深い。


2012年1月29日 (日)

国立国会図書館は新システムで良くなった

 先日,調べることがあり,国立国会図書館に出かけた。国立国会図書館では,2012年1月から新しいコンピュータシステムが導入された。これまでは,2004年に導入された利用者用システムが使われていた。これは,入館時に誌名,住所などを入力してICカードを取得,このカードで貸出や複写,端末利用をする仕組みとなっていた。最初は戸惑うが,慣れると合理的であることがよくわかった。

Ndlcard  新しいシステムは,「今年3度目…国会図書館でシステムトラブル 蔵書貸し出しなど手作業で対応」(産経新聞.116日)と報じられているように,必ずしも順調な出足ではないらしい。

 大きく変わったのは,入館時に配布されるICカードをやめ,国立国会図書館利用登録を必須とし,登録者に与える登録利用者カードで貸出や複写,端末利用などをするようにしたことと,これまで,蔵書検索,複写申込,電子情報源利用は,別々のパソコンを使っていたが,これが1台のパソコンでできるようになったことである。

 登録カードの切り替えがあるというので,登録カードを忘れず持っていたのが功を奏し,短い時間で新しい登録カードを手に入れることができた。登録カードを持っていないと臨時カードを発行して貰うのであるが,そちらの窓口には10人以上が並んでいた。

 パソコンは,大量に増設されているが,平日の午後のためか,空いたパソコンはほとんどない状態だった。時々,応答が遅くなることがあった。

 1986年に国立国会図書館の新館が開館した時に,新しく開発された「入退館管理システム」が何か月もまともに稼働しなかったことがある。国会の委員会でも何回か質問を受け,改修が終わるまで2年以上かかった。

 それから,25年の間に,いくつか変遷を経て,今のようなかなりIT寄りのシステムになった。もはや,パソコンを使えないと何もできないようになっているが,それは仕方のないことだろう。ほとんどの利用者は苦もなく使いこなしている。

 国立国会図書館の利用者案内係は正職員ではないが,モラルと接遇の水準が高い。面倒なことを言う利用者への対応を横で聞いていていつも感心する。この国立国会図書館の情報システムは,機械と人とのコラボレーションで成り立っているとも言えなくもない。


2012年1月26日 (木)

『理系のためのクラウド知的生産術』を読んでひと安心

Cloud  本屋で,堀正岳『理系のためのクラウド知的生産術』(講談社,2012. ブルーバックス)を見付けて,買ってきてすぐに読んだ。

 まず,グーグルのアカウントを作ることから始まる。そしてドロップボックス,エバーノートの便利さを説き,メールはGメールに集約するように勧めている。そして,メンデレイが出てきて,グーグルドキュメンツでの論文の書き方となる。あとは,クラウドを離れたスカイプやフェイスブックあるいはユーストリームを用いる会議や情報交換である。

 現在,この本に出てくるほとんどのサービスを使い,その評価も筆者と似ているので安心した。それほど遅れているわけではないらしい。

ドロップボックスは,もはや欠かせない存在になっている。エバーノートを本格的に使い始めたのは最近であるが,便利であることに気付き,これまで使ってきたヤフーノートパッドから徐々にエバーノートへ移しているところである。画像もウェブページも何もせずにそのままクリップできるところがよい。

 メンデレイもpdf管理には欠かせないものであり,やはり,この本にあるようにドロップボックスと組み合わせて使っている。

 この本で初めて知ったのは,マインドマイスターである。長い間,こうしたアイデアプロセッサを求めていたが,意外な形で実現されていた。

 こうしたサービスやアプリケーションは,欲張らなければ,全て無料である。考えてみれば素晴らしい環境になっていると思う。


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